<まちかどエッセー・斎藤尚美>絵本を読み解く

斎藤尚美[さいとう・なおみ]さん 1972年仙台市生まれ。東北生活文化大生活美術学科(絵画専攻)卒。市内3カ所で造形アトリエ「アートフィールドくうか」を運営するほか、絵画制作や羊毛フェルト作家として活動する。

 アートや音楽、映画や詩などと同様、この世に人間が表現する媒体として存在する「絵本」が好きです。
 子どもの頃は家にあった数冊をボロボロになるまで繰り返し読んでいました。大学時代からは、好きな作家の作品を集めたり、絵として自分の絵画制作に影響を受けたり。国内外のさまざまな絵本に接してきました。
 保育園児だったわが子の子育てでも、寝る前の貴重な親子の時間に絵本が大活躍しました。アトリエでも造形活動に入る前に、参加する子どもたちに絵本を読み聞かせしています。
 好きな絵本を挙げたらきりがありませんが、特に大切にしているものにオランダ出身の作家レオ・レオーニの『あおくんときいろちゃん』があります。
 美術教科の恩師に実習の時、頂きました。非常にシンプルな絵に、短い言葉が添えてあるという印象を持ちました。
 レオーニのデビュー作でもあるこの本は出版された当時(1959年)、子どもの本に抽象表現を取り入れた、視覚伝達の斬新な試みだったようです。今も多くの人に愛されているロングセラー絵本です。
 レオーニは本の解説で、わかりやすくシンプルであるには、ほんとうに大切なことはなんなのか? 自分がよく理解していなければならないと言っています。
 また、国語の教科書にも載っている有名な『スイミー』では、主人公の小さな黒い魚スイミーが「ぼくが目になろう」と言う、大事な場面があります。人にはそれぞれの個性と役割があるということ、そして小さなスイミーが大きな魚のイメージを持つことができたということを、芸術家としてのレオーニと重ね合わせて表現しています。
 そして『じぶんだけのいろ』という絵本では、色が変わるカメレオンが、自分の本当の色を探して、自分とは何者なのか?と自分探しをします。
 シンプルな絵と文で表現されている絵本を改めて読み返し、そこに込められたメッセージを読み解く。さまざまな問題を抱える現代の子どもたちと向き合う、ヒントが隠されているのではないかと感じています。
(造形教室主宰)


2020年02月10日月曜日


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