<まちかどエッセー・向井康夫>野山が華やかな季節

向井康夫[むかい・やすお]さん 1976年大阪府阪南市生まれ。大阪府立大大学院修了。農学博士。京都大、東北大で助教を務めた後、仙台市に「むかい*いきもの研究所」設立。市民に身近な自然を楽しく学んでもらう活動を続けている。

 最近は日も長くなり、朝夕の冷え込みもずいぶん和らぎ、外での活動をしている際に、昼間の日差しが温かいと感じる日が増えてきました。
 この時期は旧暦で『雨水』と言われていて、氷が解けだし、農耕の準備を始める時期とされています。
 田んぼ地域を散策すると、冬の間ため池にたくさんいたオオハクチョウやコハクチョウ、オナガガモ、マガモなど、冬の渡り鳥が北へと旅立ち、ずいぶん少なくなっていました。それらと入れ替わるように、野原やあぜ道にやさしいピンクのヒメオドリコソウやホトケノザ、丸くて青くてかわいらしいオオイヌノフグリ、白くて小さいナズナやタネツケバナ、ハコベなど、春にいち早く花を咲かせる草花をたくさん見ることができるようになりました。
 仙台農業園芸センター『みどりの杜』で植物の観察会を行った際には、これらの草花に加えて、日なたでじっとしているキムネクマバチや、ノゲシの葉の上を歩くナナホシテントウを参加者と一緒に見つけました。虫たちも少しずつ動き始めているようでした。目線を少し上げてみると、早くもスズメがペアを作っていて、みどりの杜の事務所建物の屋根の隙間に、巣材をせっせと運び込んでいました。耳を澄ますと、田んぼの方からヒバリのさえずる声が聞こえていました。また、少し気が早いようにも思いますが、アマガエルの鳴き声もわずかながら聞こえていました。
 田んぼでは農家さんが田起こしをしている姿を見ることができ、田んぼ地域では着実に季節が進んでいるのを感じました。
 この時期は、気候も穏やかで、色とりどりの草花が咲き、また、鳥たちのさえずりが聞こえ始める、一年のうちで最も華やかな季節だと思います。
 お出かけの際には、農村や野原に目を向けていただき、野の花や、鳥の声を楽しんでいただければと思います。


2020年03月02日月曜日


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