<まちかどエッセー・向井康夫>夏の渡り鳥

向井康夫[むかい・やすお]さん 1976年大阪府阪南市生まれ。大阪府立大大学院修了。農学博士。京都大、東北大で助教を務めた後、仙台市に「むかい*いきもの研究所」設立。市民に身近な自然を楽しく学んでもらう活動を続けている。

 日がずいぶん長くなったと感じる時期になりました。この時期は旧暦の穀雨。たくさんの穀物を潤す春の雨が降る頃、とされています。また、この季節の終わりには、夏の始まりを告げる八十八夜が訪れます。
 いつも行く家の近くの散歩道を歩いていると、草原、花壇などには一面のオオイヌノフグリや、大きくなって段の数がずいぶん増えたホトケノザが、畑では菜の花などが見られ、モンシロチョウやキムネクマバチが花を訪れているのが見られました。住宅街ではムクドリやハクセキレイがペアで活動しており、山に近づくとメジロやウグイス、シジュウカラのさえずりが聞こえ、シジュウカラやエナガが巣作りをしている姿も見ることができました。動物たちの繁殖の季節到来です。
 最近はこれらに加えて、「ツバメ」の姿を見ることがずいぶん多くなってきました。
 ツバメは、スズメやシジュウカラたちのような、一年中日本にいる鳥(留鳥)と異なり、夏の初め、日本にやってきて、秋には南に渡る渡り鳥(夏鳥)です。ずいぶん小さい鳥ですが、毎年熱帯地方と日本、往復数千キロを旅しながら生活しています。
 日本に渡ってくると、田んぼの泥や枯れ草などを使って、天敵が近づきにくい民家などに巣を作り、田んぼで発生する虫を食べる、人の生活と稲作という農の営みをとてもうまく利用して生活している鳥です。
 場所により少し前後しますが、5月中旬ごろには、親鳥に向かって口をいっぱいに開けて餌をねだる、かわいい雛(ひな)の姿が見られます。
 ツバメの他にも、里山にはオオルリ、キビタキ、サンコウチョウなど、夏鳥にはたくさんの種類がいるのですが、ツバメのように人の近くで生活するわけではないので、身近な鳥、という感じは薄いかもしれません。
 林道では、カタクリの花の時期がそろそろ終わりを迎え、ムラサキケマン、ヘビイチゴの仲間、ヤマブキなどの鮮やかな色の花が見られ始めていました。少しお出掛けしにくい状況ですが、換気の時などには、ぜひお外を眺めていただき、動植物の活動に目を向け、鳥の声に耳を傾けてみてください。
(むかい*いきもの研究所代表)


2020年04月27日月曜日


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