緊急事態宣言拡大 接触不可避の高齢者施設に危機感、保育園は登園児減らず意識改革期待

クイズを楽しむ高齢者=17日午後、富谷市の「けあふる」
手洗い、うがいの徹底など施設側も感染予防に心を砕く=17日午後、多賀城市の浮島保育所

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が全国に拡大され、密閉、密集、密接の「3密」を避けるのが難しい保育所や高齢者施設の警戒レベルは最高潮に達した。ともに社会的なニーズは高いが、運営にはマンパワーが不可欠だ。感染症に罹患(りかん)しやすい子どもや重症化しやすい高齢者を抱え、職員らは神経をとがらせる。

 宮城県富谷市のデイサービス施設「けあふる」は「流れが変わった」と危機感を強め、サービスを提供する高齢者の絞り込みを検討する。入浴やトイレ介助で職員の接触は避けられず、回数を減らすことで感染リスクの低減を目指す。
 管理者の柄沢幹さん(38)は「利用者家族の多くがサービス継続を望んでいるが、一歩間違えばクラスター(感染者集団)を発生させかねない」と話す。状況次第での休業も想定するという。
 仙台市青葉区の八幡デイサービスセンターも、14日から要介護度が低い高齢者の利用自粛を求めている。サポートが必要な利用者は毎日十数人おり、消毒などを徹底して感染防止を図っている。
 若林区の特別養護老人ホーム「成仁杜の里仙台」は、入所者への面会を原則禁止にした。取引業者とのやりとりもインターホン越しにして外部との接触を遮断している。
 運営法人の高橋宮人副理事長は「職員のテレワークはできないし、入所者を他の施設に回すこともできない。高齢者を守るため、できることは何でもやる」と覚悟を口にする。
 青葉区にある社会福祉法人はインフルエンザ対策で昨年末に大量購入したマスクを有効活用し、職員の感染予防に力を入れる。訪問介護で利用者宅を訪れるたびに交換するほか、公共交通機関で通勤する職員には毎日2枚を提供している。
 担当者は「介護職は常に人手不足。職員が感染すれば補う人材が必要になり、事業が立ち行かなくなる。行政は代替要員の支援策を検討してほしい」と要望する。

 「保育園は本質的に大人も子どもも濃厚接触の場所であり、感染リスクをゼロにすることは不可能です」
 宮城県多賀城市の多賀城すみれ保育園(園児66人)は10日、保護者にプリントを配布した。家庭で世話ができる場合の登園自粛を呼び掛けたが、効果はほとんどなかった。
 鶴島恵理園長は「仕事を休みにする会社が増えないと通う子どもは減らない。行政は行動を自粛するメッセージをもっと強く出してほしい」と主張。緊急事態宣言の全国拡大を機に社会の意識が変わることを期待した。
 仙台市内では4月中旬、保育施設で保育士や園児の感染が判明した。市は保育料の返還方針を示すなどして登園自粛を求めるが、医療関係者ら在宅勤務が難しかったり、一人親家庭だったりする保護者も少なくない。
 市内のある保育施設長は「完全に休園するのは無理。足りない衛生備品を行政は支援してほしい」と要望する。消毒液やマスクだけでなくエプロンも不足しており、ごみ袋で代用しているという。
 感染を早期に把握しようと、多賀城市の浮島保育所は1日3回、子どもたち全員の検温を始めた。
 青葉区の愛隣こども園は、保護者が保育室に入らないようルール化し、感染対策を強化している。佐藤和子園長は「1人でも保育を求める子がいれば続けるが、年度替わりの多忙な時期に新型コロナへの対応が加わり、職員は神経をすり減らしている」と打ち明ける。


2020年04月18日土曜日


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