「合唱王国」福島、感染防止ピリピリ 練習参加者がクラスター、「危険」風潮広がり懸念

16日に合唱の練習が行われた郡山市青少年会館

 福島県郡山市であった合唱練習の参加者から新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、「合唱王国」として名高い県内の合唱関係者が神経をとがらせている。複数人が集まって発声する活動の性質から感染防止に特に留意していたというが、「合唱は危険」との風潮が広がるのを懸念する。29、30日には県合唱コンクールが控えており、県合唱連盟は追加の対策や開催の可否を検討中だ。
 「狂気の沙汰だ」。21日朝、合唱練習の実施を非難する匿名の電話が連盟に届いた。クレームは他にも複数寄せられ、小林悟事務局長は「合唱のリスクが高いことは否めないが、(危険視する方向に)空気が変わりつつある」と危惧する。
 合唱練習は16日、郡山市青少年会館で郡山一中合唱部と社会人サークルが合同で行った。合唱部の生徒28人と顧問2人、サークルの15人の計45人が参加。うち男女7人の感染が確認され、県がクラスターと認定した。
 郡山市などによると、合唱部とサークルは午前は別々に練習し、午後は30分ほど一緒に歌った後、中学生が社会人の練習を後方で見学した。フェースシールドやマスクを着用した上で約2メートルの間隔を空け、十分な換気もしていたという。
 市保健所は20日の記者会見で「休憩や食事の際に感染した可能性もあり、合唱で感染したとは言い切れない」との見解を示した。品川万里市長は「感染防止措置に最善を尽くした上で起きたこと。臆測や想像を交えた誹謗(ひぼう)中傷は控えてほしい」と市民に呼び掛けた。
 合唱活動中の感染防止対策を巡っては、全国合唱連盟が6月にガイドラインを策定。練習時の注意点としてメンバー間の距離を前後2メートル以上、左右1メートル以上取ることや、連続する練習を30分以内とし5分以上の換気を行うことなどを挙げている。
 県内でも強豪校の郡山高合唱部はマスク着用や換気に加え、以前は生徒同士が対面で口の開き方や表情を確認していたパート練習を、同じ方向を向いて声を聞き合う方法に切り替えた。顧問の佐藤朋子教諭は「感染対策をより徹底するしかない。芸術活動を止めることなくコロナと闘っていきたい」と話す。
 県合唱連盟によると、県合唱コンクールは全国大会や東北大会の中止を踏まえた県独自の大会として開催を予定している。クラスター発生を受け、22日に役員会を開き、今後の対応を協議する。


2020年08月22日土曜日


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