<楽天2018 苦難>(下)育成/一貫した体制 不可欠

8月5日のロッテ戦の7回に右越えソロを放つ田中。今季、不動の1番として活躍した=楽天生命パーク宮城

 東北楽天は今季、4月13日以降ずっと最下位に甘んじた。チームは苦闘の連続だったが、来季への希望の芽も出た。

<新人王も視野>
 筆頭格が2年目の田中だ。5月下旬に1軍昇格後、中堅のレギュラーに抜てきされ、平石監督代行就任後は1番に定着した。俊足、好守に加え、6月は23試合で打率3割2分6厘と打撃もさえ、リードオフマンの役割を果たした。
 パンチ力もあり、今季ここまで18本塁打はチーム日本人最多。盗塁数も21に上り、球団初の野手での新人王獲得が視野に入る。将来的には打率3割、30本塁打、30盗塁の「トリプルスリー」の達成も夢ではない。
 9、10月は相手投手の厳しい攻めもあり、10月10日現在の打率は2割6分5厘と下がったが、田中は前向きだ。「今季始めたノーステップ打法で下半身に疲労がたまり、終盤は手打ちになってしまった。キャンプでは足腰を強化したい」と考える。

<主力脅かせず>
 5年目の内田も和製大砲の片りんを見せた。高卒の生え抜き野手では球団初の2桁本塁打を記録。特に9月は6本塁打と活躍した。「開幕当初は早く結果を出さなければならないと焦ってしまったが、シーズン中盤から自分の打撃に集中できた」と手応えを口にする。投手陣では5年目の古川が、先発でプロ初勝利を含む4勝を挙げ成長を示した。
 終盤には、西巻や山崎、堀内ら若手が起用されたが、平石監督代行が「もっとレギュラーを奪う姿勢を見せてほしい」と注文するように、1軍の主力を脅かすほどの結果は残せなかった。
 9月に就任した石井一久ゼネラルマネジャー(GM)は現チームに必要なのは、「生え抜きのスーパースター」と「育成環境の充実」とみる。
 近年のドラフトに目を向けると、獲得した選手が順調に育っているとは言い難い。この4年間の1、2位の上位指名選手を見ても、物足りなさを感じる。

<意識共有大事>
 一人の選手を育てるためには我慢と球団の明確な方針が不可欠だ。ソフトバンクは3軍制を敷き、粗削りでも有望な選手であれば育成ドラフトで積極指名し鍛える。1軍でバッテリーを組む千賀と甲斐は好例だ。
 一方、日本ハムは育成ドラフトは使わず、支配下選手(70人)の枠内に抑え、徹底した実戦主義で成長を促す。陽岱鋼(巨人)や大谷(エンゼルス、岩手・花巻東高出)ら主力が抜けてもカバーする選手が現れ、チーム力の低下を防いでいる。
 東北楽天はどうか。今季を振り返れば、オープン戦で首位打者となり開幕戦に初先発した内田が3試合に出場しただけで2軍降格となった。チーム関係者からは「使い続けていれば、30本塁打の可能性もあった」との声も漏れた。開幕からつまずいたチーム事情はあったにせよ、我慢が足りなかったように映る。
 石井GMは「毎年優勝、Aクラスを狙うためには、1軍、2軍、フロントが同じ意識を共有することが大事」と強調する。3者が足並みをそろえた一貫した育成体制の構築こそが、強いイーグルスの第一歩となる。


2018年10月11日木曜日


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