<楽天>伊志嶺、愛された11年 打で頭角も正捕手の座遠く

右前に初のサヨナラ打を放った伊志嶺=2013年9月19日、Kスタ宮城(現楽天生命パーク宮城)

 「嶋と2人で向こう10年間は捕手に心配はない」。2007年秋の大学生・社会人ドラフト会議、東京情報大の伊志嶺捕手を3巡目指名した山下編成本部長(当時)がこう評したほどの有望株だった。11年間、正捕手にはなれなかったが、伊志嶺は「来年こそは」と頑張り続け、「シーサー」の愛称と穏やかな人柄で周囲に愛された。
 頭角を現したのは2年目の09年。オープン戦最終の中日戦で、3−3の八回に代打出場し、逆方向の左翼席に大きなアーチを架けた。当時、嶋、藤井と守備力に比重を置いたメンバーの中、貴重な「打てる捕手」としてアピールし、開幕1軍入りを果たした。
 11年には新人塩見とバッテリーを組むなど1軍に定着した。13年9月19日のソフトバンク戦(Kスタ宮城=現楽天生命パーク宮城)では、九回に右前へ自身初のサヨナラ打を放ち、球団初のリーグ優勝に向けチームを加速させた。「星野監督に強く抱きしめられたぬくもりは今も忘れられない」と、プロ生活で一番の思い出になった。
 15年には自己最多の54試合に出場。16年は一塁や外野の守備にも挑戦し、難しい犠打の代打要員もこなした。
 先月23日のファン感謝祭。入団同期の聖沢と引退セレモニーを行い、感謝の言葉を述べた。「何の実績もない自分のためにこのような機会をもらえるとはありがたい」。最後に仲間たちから胴上げされ「うれしい。まさかここまでしてもらえるとは…」と感極まった表情を見せた。
 「個人的には苦しいことが多く、華やかではなかった。でも日本一にもなれてよかった」。シーサーは穏やかな笑顔を見せ、マスクを置いた。(金野正之)


2018年12月30日日曜日


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