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<週刊せんだい>福祉現場 真冬に訪ねて(3)独居の高齢者を守る動き/空き室活用、孤立を解消 施設に季節入居で交流促す

出来たてのおでんや熱かんで温まった人気の居酒屋イベント。入居者と職員たちがおしゃべりとカラオケを楽しんだ=仙台市宮城野区新田東のツクイ・サンシャイン仙台
高齢者施設への入居について相談に応じるスタッフの佐藤さん(中央)と鈴木大樹さん(左)=青葉区二日町のウチシルベ仙台
「いち、に、いち、に」。利用者と一緒に膝の曲げ伸ばしをする桜井さん(左)=太白区茂庭台のないとうクリニック複合サービスセンター

 厳冬期、介護が必要な1人暮らしのお年寄りや家族の悩みを、高齢者入所施設の空き室を利用して解消しようという動きが広がっている。

●居酒屋イベントも
 仙台市宮城野区にある介護付き有料老人ホーム「ツクイ・サンシャイン仙台」。総部屋数は48で、約40室が長期入居中だ。2007年12月の開設以降、空き室を冬期間提供する「越冬入居」を行っている。これまで利用が数件あり、リピーターが出るなどニーズは高まりつつある。
 独居の高齢者の中には、積雪による転倒を恐れて買い物や通院がおっくうになり、自宅に閉じこもる人が多い。運動不足に加えて、健康を害してしまうこともある。
 運営会社「ツクイ」(横浜市)の有料老人ホーム推進本部・鶴史彦さん(35)は「春から元の暮らしに戻ることを前提に、それぞれの自宅の浴室や玄関、階段の段差に対応したリハビリのメニューを用意することができます」と説明する。
 入居後も、自室にこもりがちになるのを防ごうと、施設側は1階の交流スペースで多彩なイベントを用意する。長期入居、越冬入居を問わず、好きな催しに参加できる。1月下旬には、夜に人気の居酒屋イベントが開かれ、80〜90代の入居者と職員たちが、熱かんやおでんを味わいながらおしゃべりを楽しんだ。
 越冬入居中の人に対し、同施設は生活の継続性を重要視する。職員の補助を受けながら、部屋掃除や配膳を手伝ってもらうことにしている。同社のエリアサービスコーディネーター今井儀(ただし)さん(37)はさらに、「バランスの良い3度の食事で、低栄養状態の回復も可能です」と話す。
 今季はまだ越冬入居の利用はないが、急なニーズもすぐに受け入れられるよう準備に余念が無い。

●核家族化で相談増
 仙台市内を中心に老人ホームやグループホームなどの仲介を行う「ウチシルベ仙台 高齢者住宅仲介センター」(青葉区)によると、昨年1年間に寄せられた相談件数は約430件。うち、冬場の入居に関するものは約180件あった。
 14年7月の仲介サービス開始以来、首都圏などに住む人が、仙台に1人で暮らす親を心配して問い合わせるケースが目立つ。ウチシルベ仙台は、核家族化と高齢化が進行する中で冬場の相談はさらに増えるとみる。
 高齢者の中には、施設入所によって自由な生活が損なわれるのではという抵抗感を持つ人もいる。ウチシルベ仙台のスタッフ佐藤絵美さん(34)は「外泊が自由な施設も多く、地域住民との交流イベントも企画されている。うまく活用すれば、自宅暮らしの時よりも社会性を取り戻すことにつながります」と利点を指摘する。


◆◆うちのプロフェッショナル

 専門性の高い仕事で福祉現場に貢献する人々を紹介します。

◎丁寧に回復サポート/リハビリ施設職員理学療法士 桜井優(さくらい・ゆう)さん

 手脚の曲げ伸ばしを手助けしたり、平行棒や階段を使った歩行訓練に付き添ったり。仙台市太白区茂庭台の「ないとうクリニック複合サービスセンター」内にある通所リハビリステーションで働く桜井優さん(32)は、リハビリ専門職として高齢者らの身体機能の回復をサポートする。
 高齢になると「もう年だから」と意欲が湧かない人もいる。「『自分はやれるんだ』と達成感を真っ先に感じてもらえるようなメニューを組むようにしています」と笑顔で語る。
 同ステーションには市内に住む60〜90代の約70人が利用登録し、1日15人ほどが通ってくる。要介護5で寝たきりの人には、介助者が着替えさせやすいように腕や足の関節を柔らかくするケアを、犬の散歩を続けたいという要介護度が低めの人には、体力維持のアドバイスをする。
 東北文化学園大医療福祉学部を卒業後、市内の整形外科勤務を経て2016年4月から今の職場で働いている。前職は、けがの治療のために通う現役世代の患者がほとんどで、目標を高めに設定したメニューを提案することが多かった。
 「お年寄りには、より安心安全に長く続けてもらえるリハビリを考えるようになりました」。利用者と接する上で、家族や担当ケアマネジャーとの情報共有も欠かさない。一人一人への細やかな対応が求められる分、やりがいも日々増している。


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2018年02月15日木曜日


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