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<東日本大震災>わが子を抱き締めたまま亡くなった母親の姿に涙止まらず 消防署員が葛藤つづる

現場での葛藤や使命感など消防職員らの思いをつづった手記を紹介する展示会

 東日本大震災の発生から間もなく7年を迎えるのを前に、仙台市沿岸の被災地で救助活動などに当たった消防署員の手記58点を集めた企画展が、若林区のせんだい3.11メモリアル交流館で始まった。「自分がここで泣いてはいけない」「冷静さを保てず涙が止まらなくなった」。感情を抑えて職務を遂行しようとする消防署員の思いが込められている。
 「何も考えるな、目の前にあるできることだけに集中しろ」。ヘリ隊員とみられる消防署員は震災直後、心の中で唱え「それが自分ができる最高の救助法」と繰り返した。
 眼下には、がれきにしがみつく被災者があちこちにいた。「誰から、どの順番で。何人。燃料は」。疑問が次々と浮かぶ。「パニック状態で一瞬身体が硬直して動かなくなった」という。
 震災2日後の若林区荒浜。別の署員は、両親と息子2人を亡くし、妻が行方不明だという男性に出くわした。「泣いてはいけない」と自分に言い聞かせながらも、涙があふれた。悲惨な光景を前に押し込めていた悲しみ。手記に「感情を再認識できた瞬間でもありました」とつづった。
 1歳に満たないわが子を抱き締めたまま亡くなった母親の姿を目にした指揮隊員は、手記に「現場活動をする者として恥ずかしい話ですが、涙が止まらず、しばらく車の中で泣いていました」と記した。
 ある署員は「ベストは尽くしたと思っているが、もっといい方法があったかもしれないとも思う。無力感が漂うことがある」と胸の内を明かした。
 企画展は交流館の主催。手記は「救助」「苦悩」「命」などテーマごとに並び、名前や職名を記していない。共催の若林消防署が2011年に署員の思いをまとめた冊子から選んだ。
 同署の長田光広予防課長は「全員が強い気持ちでいたわけではなく、葛藤しながら活動した。市民に生の声を届け、助ける側の視点で震災を改めて考えてほしい。救助される側との距離を縮めたい」と語る。
 4月22日まで。入場無料。午前10時〜午後5時。毎週月曜と祝日の翌日は休館。連絡先は3.11メモリアル交流館022(390)9022。


2018年02月16日金曜日


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