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<平昌五輪>羽生復活、連覇 勝負師、壁越えた

会心の演技に雄たけびを上げる羽生=17日、韓国・江陵(写真部・川村公俊撮影)

 平昌冬季五輪第9日の17日、フィギュアスケートの男子で羽生結弦(23)=ANA、宮城・東北高出=が66年ぶりの2連覇を達成した。

 故障した右足首の状態は今も良くないことを認める。焦りと不安。常人では考えられない壁を乗り越えた。その強靱(きょうじん)な精神力はどこから来るのか。
 言葉が大きな武器だ。
 「楽しい」。平昌入りしてから、自分も周囲も暗示に掛けるように繰り返してきた。どんな発言をしたらどんな気持ちになるか。過去のインタビューで研究するという。言葉は緻密に計算されている。
 優勝が決まると、控室で泣いた。泣き過ぎて目が腫れていた。「とにかく勝ちたかった」。全てが終わり、言葉のよろいを脱ぎ捨て、少し心を開いた。
 4回転ループを避け、無難とも取れる構成で勝った。「ループを跳びたい、跳びたくないという以前に、勝たないと意味がない」。外野がいくら美化しようが、人間羽生が求めるのは結果でしかなかった。
 フィギュアスケートはスポーツか芸術か。目的は勝利か理想の演技の追求か。羽生はアスリートだ。求道者ではなく、勝負師だ。
 「勝ちたいから」。仙台で練習していた頃、羽生は競技を続ける理由をこう語っている。生々しいほど勝利を求める。きゃしゃな体には似つかわしくない、人間らしい性(さが)がある。同じ金メダリストでも荒川静香(宮城・東北高−早大出)が自分の理想を求めたのに対し、羽生はいつも他者を見てきた。
 ソチはパトリック・チャン(カナダ)の背中を追った。平昌は若手が伸びて群雄割拠となった。「4回転の種類を増やしたのは、ボーヤン(金博洋)選手がルッツを跳んだから。宇野選手も出てきて、うかうかしていられないと思った」
 ライバルとの競争が自分の力をどこまでも押し上げてきた。だからこう言う。
 「僕は時代に恵まれたスケーターだと思っている」
 3連覇を狙うのか。「今は次について考えていない」と断ってから続けた。
 「甘くはない。4年間でレベルが上がり何回も置いていかれた。頼もしい後輩もいる。もうちょっと続けるとは思うが、滑りながら決めたい」
 少なくとも今この瞬間は、一息ついた表情に見えた。(平昌=佐藤夏樹)


2018年02月18日日曜日


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