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<この人このまち>FSC認証活用 山主導で管理

<さとう・たいいち>1984年、仙台市生まれ。山形大大学院理工学研究科で宇宙線物理学を専攻し、博士後期課程修了。理学博士。2012年、震災をきっかけに家業を継ぐために南三陸町に戻る。

 宮城県南三陸町と町内の森林所有者らでつくる南三陸森林管理協議会は2015年10月、国際機関「森林管理協議会(FSC)」の認証を受けた。認証を使って林業をどう活性化させるのか。協議会の事務局を務め、江戸時代から地域の山を守る佐藤家の12代目で「佐久」専務の佐藤太一さん(33)に現状と展望を聞いた。(南三陸支局・古賀佑美)

◎森林経営「佐久」専務 佐藤太一さん(33)/息子に恥じない山づくりが森林の持続につながれば

 −FSC認証とは。

 「環境への配慮はもちろん、継続的な森林資源の供給、法令順守や安全な労働環境といった基準があります。商品にラベルを貼ることで、消費者が適切に管理された山から切り出された木が材料になっていると知ることができます。食品と同様、木材もトレーサビリティー(生産流通履歴)を確保します」
 「町は東日本大震災の津波で大きな被害を受けましたが、山は残りました。この資源を復興に生かすことが必要だと考え、協議会を発足させて認証を受けました」

 −認証取得の効果は。

 「17年9月に再建した町役場庁舎を建設する際、木材の9割以上に町の認証材を採用し、国内の公共施設で初めて全体プロジェクト認証を得ました。これをきっかけに木材流通の『見える化』が進みました。プロジェクト認証を受けるには庁舎建設に関わる素材生産、製材加工、建築など関係企業が木材の出元を確認しながら作業しなければなりません」
 「最近は発注者から認証材を使いたいという要望が増えています。これまで使い道の決まっている木を山から切り出すことはありませんでした。流通の最上流である山側が主導権を取ることで、山を適切に管理できる環境が整います」

 −林業全体が抱える課題と、解決に向けて取り組むことは何か。

 「戦後、全国的に大規模な造林を進めた山は今、使い時です。一方、その間に輸入材が増えた結果、木材価格は急落し、放置林が増えました。山林を集約してやる気のある生産者が委託管理することが必要です。山の環境や性格に合わせて伐採期間を決めてゾーニングし、全ての山に意味を持たせたい。素材生産できなければ自然公園にして観光地化することもできます」

 −家業を継ぐ重圧はありませんか。

 「ライバルは同業者だけでなく、父や祖父、偉大な先祖の皆さんです。15年に長男の太久明(たくあき)が生まれ、どうやって代を引き継ぐか意識するようになりました。息子に恥じない山づくりをすることが結果的に森林の持続可能性につながるのかもしれませんね」


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2018年02月19日月曜日


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