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<ニュース深掘り>秋田サッカー場問題 新設の前に集客増図れ

昨季のホーム最終戦で声援を送る秋田のサポーター=2017年11月19日

 サッカーJ3秋田がJ2に昇格するためのスタジアム整備計画が進んでいる。秋田県、秋田市はそれぞれ2月議会に、新設へ向けた整備構想を話し合う協議会の費用などを盛り込んだ予算案を提出した。ただ、現状は「新設ありき」が先行している感がある。巨額の財政負担を求めるならば、クラブが集客増を図るための取り組みを強化するとともに、県や市は十分な説明と将来を見据えた議論を尽くす必要がある。

 県は2018年度一般会計当初予算案に、新スタジアムの場所や規模、財源を話し合う協議会の負担金500万円を計上。完成まで暫定的に使う市八橋運動公園陸上競技場の改修費約9億9000万円のうち、市に助成する約3億1700万円を本年度一般会計補正予算案に盛り込んだ。
 クラブは昨季、本拠地のあきぎんスタジアム(秋田市)の定員がJ2の基準を満たしていないことなどから、昇格に必要なライセンスの申請を見送った。そのため、優勝して条件(2位以上)を満たしても昇格できなかった。
 他の条件のうち「ホームゲーム1試合当たりの平均入場者数3000人以上」は今季、撤廃された。昨季の平均入場者数が2364人(16試合)の秋田には「追い風」となるが、手放しでは喜べない。現状の入場者数でJ2に昇格しても、クラブの財務を悪化させる危険性があるからだ。
 Jリーグがまとめた16年度の決算と17年度の平均入場者数は表の通り。J2はJ3に比べて人件費は4倍、入場者数は3倍、入場料収入は5倍に増えている。
 秋田は入場者数、入場料収入ともJ3の平均を下回る。特に入場料収入は3分の1以下で、J2でクラブを運営していくためには、有料入場者をいかに増やすかが鍵となる。
 参考になるのがJ2松本の取り組みだ。試合当日に花火、音楽ライブなどさまざまな催しを開催。主要駅と競技場を結ぶ無料バスも運行している。地域リーグ時代の08年に2223人だった平均入場者数は17年、1万2146人になり、J2有数の集客力を誇る。
 クラブの広報担当者は要因として企業努力に加え、「サポーターやボランティアが自分のこととして集客に取り組んでいる」ことも挙げる。
 秋田と松本のホームタウンの人口はほぼ同じ。観客を増やす余地はあるだけに、サポーターらの協力を得て知恵を出し合い、実行することが求められる。もちろん、企業としての地道な取り組みも欠かせない。
 新スタジアムの整備費の問題もある。建設費は100億円以上、維持費は年間数千万円から1億円程度かかるとされる。
 人口減少や少子高齢化が進む中、県や市の財政に余裕はない。後世に負担を強いる投資をするには、財源の見通しを明らかにした上で、県民を巻き込んだ議論と合意形成が必要だ。
 早期のJ2昇格を目指すクラブ、サポーターの気持ちは分かる。ただ、重要なのはチームが今以上に地元に愛され、不可欠な存在となることだ。地域スポーツの意義とは何か。そのためには何が必要なのか。スタジアムの整備を、そうした視点からも議論すべきではないだろうか。(秋田総局・藤沢和久)

[J2ライセンス取得の条件]Jリーグのライセンス交付規則は、運営会社の組織体制や財務状況、競技施設の基準を定めている。J3秋田の本拠地あきぎんスタジアム(秋田市)は定員4992人。基準の1万人を大きく下回り、大型映像装置やナイター照明がないために条件を満たしていない。


2018年02月19日月曜日


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