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<発展期の幕開け>(下)課題への手当て/教育や福祉医療に重点

学生向けに県保育協議会が開催した就職ガイダンス。保育士不足の解消が急務となっている=17年8月、仙台市青葉区

 東日本大震災後に県が策定した復興計画(2011〜20年度)は18年度、最終ステージの発展期に入る。村井嘉浩知事は「ジャンプアップ予算」と名付けた新年度一般会計当初予算案を15日、県議会2月定例会に提出。復旧復興事業の仕上げに加え、観光振興や教育分野の課題解決などに力点を置いた。4期目最初となる本格予算の編成内容を点検した。

◎18年度宮城県予算案

 石巻市の社会福祉法人輝宝福祉会が運営する「石巻たから保育園」は昨年10月、園児の定員を75から60に減らした。法人内の保育士が8人離職し、規模縮小を余儀なくされた。
 保育士の給与水準は手取り15万円程度と低く、好待遇の首都圏に流れるケースが少なくない。小野崎大通施設長は「処遇を改善して離職を防ぎたいが給与を上げる余力はない」と嘆く。
 宮城労働局の調査では、県内の保育士不足は約300人。人手不足が待機児童の増加に拍車を掛け、入所を待つ児童は昨年4月時点で790人に上る。

<保育士対策を拡充>
 県は2018年度一般会計当初予算案で、保育士の確保対策を拡充した。掃除や食事をサポートする「保育補助者」を雇用した施設への新規助成措置として2500万円を計上。東日本大震災の被災地に整備する企業内保育所の予算は、本年度分の1割に迫る5000万円を増額した。
 県保育協議会の高野幸子副会長は「保育士は子どもの人格形成に携わる重要な仕事。給与の底上げなどで担い手を増やす対策が必要だ」と指摘する。
 村井嘉浩知事は当初予算案を発表した6日の記者会見で、復旧復興を最重点課題に挙げつつ「遅れが見られる分野を支援する」と、子育てや教育分野に予算を配分したことを強調した。
 仙台二華高(仙台市若林区)に導入を目指す教育プログラム「国際バカロレア」の推進費に2400万円、低迷する学力の向上につなげるためICT(情報通信技術)機器の配備費に2億5000万円を盛り込むなど、復興後を見据えた施策が目立つ。

<「ようやく出発点」>
 「全国下位レベル」(医療関係者)とされる医療体制整備にも乗り出す。未整備の都道府県は宮城を含め4県のみだった精神科救急の24時間化には、1億3700万円を充当した。
 県精神保健福祉審議会長の猪俣好正国見台病院理事長は「周回遅れの印象は否めないが、ようやくスタート地点に立った。医師不足や施設の地域偏在など課題は多く、根気強く取り組んでほしい」と求める。
 他にも骨髄移植の臓器提供者に対する休業補償(370万円)、がん患者の医療用ウィッグ購入費(500万円)などが新たに盛り込まれた。いずれも昨年の知事選前に、村井知事が県議会定例会で導入に前向きな考えを示していた。
 保健福祉部の幹部は「議会対策の側面もあるが、県政の弱点とされた福祉医療に手厚く配分する傾向は続いている。新規事業を有効に活用し、課題の解決を図りたい」と話す。


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2018年02月20日火曜日


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