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<秋田おばこ農協巨額赤字>早期の経営改善必要 「要改善」指定は不可避

コメの直接販売による共同計算会計で巨額赤字が発覚した秋田おばこ農協(写真は一部加工しています)

 秋田おばこ農協(秋田県大仙市)がコメの直接販売の共同計算会計で約56億円の累積赤字を計上した問題は、コメの取扱量全国一を誇る農協の信頼性を揺るがした。同農協が2017年12月に設置した内部調査委員会の報告書からは、不適切な会計処理や不透明な取引実態、理事会の機能不全など数々の問題点が浮かび上がる。今後決まる赤字処理策に関して、農協は内部留保の取り崩しなどで対応する考えを示す。しかし、「要改善農協」に指定される自己資本比率の8%割れは避けられず、短期での経営改善を迫られることになる。(秋田総局・渡辺晋輔)

 おばこ農協は20日に理事会を開き、全容解明と役員の責任を追及するため、弁護士と公認会計士の計4人からなる第三者委員会の設置を決める。
 秋田県は、3月20日までに原因究明と損失処理策などの報告を求めている。佐竹敬久知事は今月5日の定例記者会見で、「経営再建は農協単体ではできない。県農協中央会などの援助も必要だ」と話した。別の県幹部は「県内の代表的な農協であり、地域経済への影響は大きい」と気をもむ。
 直接販売は、農協が生産者から委託されて全農を通さずに卸売業者や量販店などに販売する。その際、農協は生産者に仮払金を支払う。販売総額が見込みを上回れば生産者に清算金を追加払いし、逆に下回れば仮払金の一部を返還してもらう。精算は生産年ごとが原則で、通常2年程度で終わる。
 一連の問題は17年8、9月のJA全国監査機構の期中監査で13年産が未精算だったことで発覚した。その後の農協の調査などで、精算を終えて黒字とした11年産は9億円の赤字、12年産は約22億円の赤字と判明。精算が済んでいない13〜15年産も計12億円の赤字だ。
 さらに宮城県北の米穀卸売会社から約12億5600万円の未収金がある。会社とは04年に取引を開始。06年には1億円の代金が入金されず、職員が回収した。その後も販売は継続され、未収金は膨らんだ。今年3月末までに未収金を回収できるかどうかは不透明だ。
 おばこ農協の直接販売はピーク時の12年産で全販売量の86.8%を占めた。急拡大する一方、電算システムは導入されず、帳簿類の整理もずさんだった。赤字情報は共有されず、チェック機能が働かなかった。
 共同計算会計で赤字が発生した場合、農協は負担せず、生産者に仮払金の一部を返還してもらい精算する。しかし、「精算済みの分の負担を生産者にお願いするのは難しい」(県農協中央会関係者)。農協は約81億円ある組合員出資金には手を付けず、約21億円の利益剰余金の取り崩しや生産者に協力を仰ぐほか、農協独自の生産者向け奨励金の見直しなどを行う方針だ。
 農協は自己資本比率が8%を割る見込みで、1〜2年以内に自己資本比率を高める必要がある。しかし、県農協中央会の関係者は「年間の剰余金は元々多くない。経営改善のハードルはかなり高い」と指摘する。
[秋田おばこ農協]大仙市、仙北市、秋田県美郷町の2市1町が事業区域。組合員は約3万人。役職員は868人。2016年度のコメの取扱量は8万6160トン、販売額は196億円。

◎自己資本8%割れ確実

 今回の巨額赤字により、秋田おばこ農協(大仙市)の自己資本比率は10.33%(2017年9月末、推計値)から低下して8%を割り込むことは確実で、「要改善農協」に指定されることになる。要改善農協は1〜2年以内の経営改善が求められる。
 県農協中央会によると、自己資本比率が6〜8%未満(レベル1)だと、2年以内に8%超にする必要がある。さらに悪い4〜6%未満(レベル2)は、1年以内にレベル1への改善が求められる。いずれも内部留保の積み上げや出資金の積み増しなどが必要だ。


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2018年02月20日火曜日


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