広域のニュース

<問う論じる 改憲の行方>(2)権力縛るルールの危機

<えだの・ゆきお>宇都宮市出身。東北大法卒。衆院埼玉5区。1993年に日本新党から立候補して初当選。9回連続当選。民主党政権で官房長官、経産相などを歴任。弁護士。

 憲法改正を巡る論議が、2018年政局の焦点となっている。昨秋の衆院選で改憲に必要な3分の2議席を維持した安倍晋三首相は、年内の国会発議も視野に入れる。問われるべき憲法観、論じられるべき争点は何か。インタビューシリーズの序として、東北にゆかりのある与野党論客に聞いた。

◎立憲民主党代表 枝野幸男氏(53)

 −「立憲主義の回復」を掲げ昨秋、結党した。

 「権力は憲法というルールに基づき行使されなければならない、というのが立憲主義だ。当たり前過ぎて長年あまり使われなかった言葉なのに、安倍晋三首相は理解していない。安全保障関連法で、9条に反して集団的自衛権の一部行使を容認する解釈改憲を決めた。立憲主義は危機に直面している」

 −首相は9条に自衛隊を明記する案を示し、自民党も検討している。

<議論対象でない>
 「議論の対象にすらなり得ない。集団的自衛権の行使を容認したまま自衛隊を9条に明記すれば、首相の立憲主義違反を是認することになる。交戦権や軍備を巡る解釈も当然変わる。集団的自衛権は憲法違反という本来の解釈に戻さない限り、議論はあり得ない」

 −自民党は参院選挙区の合区解消なども改憲項目に掲げる。

 「自民党の検討項目はいずれも賛成の余地が全くない。例えば参院の合区は選挙制度や二院制における参院の在り方の議論が先にあるべきだ。憲法問題として論じる前提を欠いている」

 −首相の(憲法7条を踏まえた)衆院解散権の制約を主張している。

<日本は時代遅れ>
 「世界的にみれば日本は時代遅れ。ドイツは解散権の乱用がナチスの台頭を許した要因と考え、内閣に勝手な解散権を持たせないようにした。イギリスも21世紀に入り自由に解散できない制度を導入した。今や首相や内閣が勝手に解散できる国は少数派だ」

 「ただ、日本でこうした認識は国民の間で十分に共有されておらず、すぐに改憲発議する段階にない。党内議論を進めながら国民に問題提起を続ける」

 −そもそも国民は改憲を望んでいると思うか。

<発議 国民の声で>
 「世論調査で改憲に賛成の割合が高く出ることもあるが、それは『一切変えては駄目、という立場ではない』ということだろう。必要があれば積極的に変えるべきだと思うが、今のままではどうしても困るという条項はあるのか。改憲発議は国民の声に押されてなすべきことであり、政権の都合でなすべきではない」

 −東北大で法学や憲法を学び、弁護士になった。

 「司法試験の憲法分野が一番苦手だったから、非常に実利的な理由で小嶋和司先生の憲法ゼミに所属した。憲法学は法哲学の側面も強いが、抽象概念ではなく統治論を中心に『道具としての憲法』を教わった。今もとても役立っている」

 −印象に残る憲法関連の書籍は。

 「元AKB48の内山奈月さんと南野森九州大教授の『憲法主義』。入門書だがしっかりした中身だ。僕らが受けた時代の司法試験で憲法の総論部分はクリアできるぐらいの深さもあった」(聞き手は東京支社・小沢邦嘉)


関連ページ: 広域 政治・行政

2018年02月12日月曜日


先頭に戻る