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<問う論じる 改憲の行方>(3)国民議論 まだ成熟せず

<いのうえ・よしひさ>富山市出身。東北大工卒。衆院比例東北。公明新聞記者を経て1990年に初当選。通算9回当選。党政調会長、党副代表などを歴任し、2009年から現職。

 憲法改正を巡る論議が、2018年政局の焦点となっている。昨秋の衆院選で改憲に必要な3分の2議席を維持した安倍晋三首相は、年内の国会発議も視野に入れる。問われるべき憲法観、論じられるべき争点は何か。インタビューシリーズの序として、東北にゆかりのある与野党論客に聞いた。

◎公明党幹事長 井上義久氏(70)

 −憲法に対する党のスタンスは。

<加憲が基本路線>
 「戦後の民主主義、平和と発展を築いた優れた憲法だ。国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原理は将来にわたって堅持すべきだ。その上で憲法制定時に想定されていなかった新しい権利や価値の国民的な合意ができた場合、憲法に書き加える『加憲』が基本的な考え方になる」
 「ポイントは現実的課題を解決しようとする時に憲法上の支障が何か生じるのか、あるいは憲法で明記しないとできないのか。もう一つは憲法が規定する国の在り方をどう考えるかだ」

 −自民党が整理した9条改正、緊急事態条項新設など4論点をどう評価する。

 「党として、それぞれ評価する作業はしていない」

 −なぜか。

 「これは自民党内の議論。公明党の考え方も衆参の憲法審査会の議論で当然示さなければならないが、まずは党内で整理しないといけない。通常国会の審議を見ながら、党の憲法調査会で議論を本格化させたい。環境権や地方分権、知る権利、プライバシー権もテーマになるだろう」

 −「平和の党」を掲げており、9条改正に反対する支持者は少なくない。

<安保環境に対応>
 「9条の1、2項は堅持する。『自衛隊はいまだ憲法違反』との問題提起に『自衛隊の存在を憲法に明記することが政治の責任』との主張も理解できなくもない。だが、自衛隊は国民に定着している。今すぐ9条に自衛隊を加憲しなければ、日本の安全保障に支障を来す状況ではない。安全保障法制で9条下で許される自衛の限界を改めて明確にし、現在の安全保障環境の変化に対応できている」

 −安倍晋三首相は年内の国会発議を促す発言を繰り返している。

 「憲法改正を党是とする自民党の総裁としての発言だろう。自身も意欲を持っていると思うが『スケジュールありきではない』とも話している。最終的には国民投票というハードルがある。容易ではないと十分お分かりだと思う」

 −改憲論議で自民党との関係が悪化する懸念は。

<連立に支障なし>
 「昨秋の衆院選後、連立政権合意を交わした。憲法については衆参の憲法審査会の審議を促進することで憲法改正への国民的議論を深め、合意形成に努めると最後の項目に書いてある。両党が憲法で一致するのはそこだ。政権として取り組む課題ではない。憲法で連立政権運営に支障が出るとは考えていない」

 −自らの憲法観は。
 
 「憲法の3原理はある意味、人類の到達点。戦後70年がたち、国のあるべき姿を示す憲法が今のままでいいのかという意見はあるが、何か現実を進める上で憲法が支障になると考えたことはあまりない。国民の改憲議論は成熟していない。国民的な合意がなければ絵に描いた餅になる」(聞き手は東京支社・瀬川元章)


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2018年02月13日火曜日


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