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<問う論じる 改憲の行方>(4完)不戦の理念 根本崩れる

<こいけ・あきら>東京都出身、東北大医卒。参院比例。医師として病院勤務を経て、98年の参院選比例代表で初当選。通算3回当選。党副委員長などを歴任し、16年4月から現職。

 憲法改正を巡る論議が、2018年政局の焦点となっている。昨秋の衆院選で改憲に必要な3分の2議席を維持した安倍晋三首相は、年内の国会発議も視野に入れる。問われるべき憲法観、論じられるべき争点は何か。インタビューシリーズの序として、東北にゆかりのある与野党論客に聞いた。

◎共産党書記局長 小池晃氏(57)

 −安倍晋三首相は改憲発議を促す発言を繰り返す。

<尊重擁護の義務>
 「戦後レジームからの脱却を訴える首相は9条を敵視している。特定秘密保護法や安全保障関連法、共謀罪法など憲法の理念を踏みにじる法案を数の力で強行的に成立させた。だが、99条は国務大臣らに憲法尊重擁護の義務を課す。首相の仕事は憲法を守ることであり、変えることではない」

 −自民党は9条の1、2項を維持し自衛隊を明記する首相案と、「国防軍」創設を盛り込んだ2012年党改憲草案をベースに2項を削除する案を示した。

 「自民党が明記したい自衛隊は、専守防衛や災害救助で大きな役割を果たす現在の自衛隊と本質的に異なる。1、2項を維持しても2項を削除しても、制約なく海外で武力行使ができるようになり、憲法の大原則である不戦の理念が根本から変わる。北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて許されないが、改憲で武力行使の歯止めを外せば北東アジアの軍事的緊張が高まる。有害無益だ」

 −共産党綱領は自衛隊を違憲として、段階的な解消を掲げる。

 「今問われているのは自衛隊の違憲性ではなく、無制限に海外で武力行使できるようにしていいのかどうかだ。自衛隊は世界有数の軍隊。9条2項の戦力不保持と相いれない存在だが、国際情勢を見ればすぐに解消できないことは明白だ」

 −自民党は緊急事態条項の新設も検討する。

<事実上の戒厳令>
 「災害対策を改憲の口実に使うのは許されない。自民党案は国会議員の任期延長を盛り込むが、憲法には大災害などを想定し、衆院解散後の緊急時に国会の機能を代替できる参院緊急集会の規定がある。政府への権限集中は事実上の戒厳令で非常に危険。東日本大震災では、災害対応に取り組む自治体への権限移譲や情報共有こそが迅速な救援につながることを学んだはずだ」

 −「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2議席を衆参両院で維持する。

<政権への警戒感>
 「3分の2はあくまで発議要件。憲法改正を決めるのは国民投票だ。共同通信社の1月の世論調査によると、安倍政権下での改憲反対が半数を超えた。多くの国民に安倍政権への警戒感がある。国会内の力関係だけで改憲に突き進むのは間違っている。社会保障制度の改革や子育て支援など優先的な課題は他にある」

 −憲法を身近に感じた経験は。

 「東北大在学中に学生自治会役員を務めた。当時、政府が国立大の学費値上げを提案し、反対する600人以上が学生大会に集まった。教育の機会均等や教育を受ける権利を保障する活動のよりどころが憲法。友達と語り合い、実践的に憲法を学んだ経験が今の活動につながっている」(聞き手は東京支社・片山佐和子)


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2018年02月14日水曜日


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