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<放射光施設>仙台誘致実現 資金集めが焦点に

秋田市で昨年12月に開かれた関連セミナーにも多くの企業関係者が来場した

 文部科学省が官民共同による整備を表明した次世代型放射光施設は、誘致する民間パートナーの応募期限まで約1カ月に迫った。一般財団法人光科学イノベーションセンター(仙台市)など関係団体は東北大青葉山新キャンパス(同)への誘致構想を近く申請する。誘致活動は今後、6月の建設地決定までの資金集めが焦点になる。
 文科省の試算では、建設費約340億円のうち国が200億円を負担。民間側は建屋と研究棟、ビームラインの一部の計140億円前後に加え、用地取得造成費を賄う計画=表=だ。同省は募集要件として、財源確保の見込みを示すよう求めている。
 青葉山への誘致構想は期限の3月22日までに、センターと東北経済連合会、宮城県、仙台市の4者が申請する予定。財源確保について、村井嘉浩知事は「応分の負担をしなければならない」と表明した。郡和子仙台市長は「でき得ることを考える」と述べ、固定資産税などの相当額を補助する方向で検討している。
 ともに財政難の折、予算化には議会の議決が必要なこともあり、センター関係者は「県や市にお願いできる項目は限られる」とみている。今後、鍵を握るのは産業界の協力だ。
 物質の構造を調べる放射光施設は既存施設が学術中心なのに対し、センターは企業に使い勝手の良い施設を目指し、技術革新などに生かしてほしい考え。1口5000万円の出資に利用権を付与し、申請から利用までの時間を短縮。既にIHIや三菱重工業など約50社から出資を取り付けた。
 国の整備表明後、企業からの問い合わせは一段と増えた。センターの高田昌樹理事長(東北大総長特別補佐)は「素材開発に有用と考えている企業は非常に多い」と確信し、企業回りを活発化させる。
 一方、東経連は地元企業向けに1口50万円で利用できるフレンドリーバンクを開設。利用できる時間などに制約があるが、合計額は5000万円を超えた。斎藤幹治常務理事は「東北全体に効果が広がるようにしなければならない」と、秋田、新潟両県でも施設をアピールする。
 1997年に利用が始まった放射光施設「スプリング8」(兵庫県)の運営財団は98社・団体から66億円の寄付を集めた。これが当面の目標額となり、高田理事長は「企業の国際競争力が高まる利点をさらに広く知ってもらう」と話す。

[放射光施設]リング型の加速器を光の速さで回る電子が、方向を曲げた時に発する光を使ってナノレベルで物質解析をする。国内に9施設ある。次世代型施設は物質の構造を解析する軟エックス線領域に強みがあり、官民共同の整備で国側は量子科学技術研究開発機構(千葉市)が受け持つ。2023年ごろの運転開始を目指す。


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2018年02月21日水曜日


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