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<広がれ輪 重症児者・家族サポート>(上)交流創出 外出機会、細く長く提供

次年度の活動を話し合う猪苗代さん(左から2人目)らメンバー=2017年11月、仙台市太白区

 宮城県内の医療、福祉の現場で働く20〜50代の男女6人が始めた重症心身障害児者(重症児者)と家族を支援するボランティアグループ「(わ)」(まるわ)が、1月で結成1年を迎えた。外出に付きまとう医療的ケアの問題や、同じ境遇の仲間と出会う機会の少なさなど、家族らが直面する課題の解決に試行錯誤が続く。1年目の活動から、重症児者を巡る現状と課題を探る。(報道部・千葉淳一)

◎わプロジェクトの1年

<「非日常」楽しむ>
 昨年10月下旬、まるわが岩沼市総合福祉センターiあいプラザで開いた地域交流会。重症児者と母親、近くの障害者施設の利用者ら約50人が集まり、歌やハンドベルの演奏を楽しんだ。重症児者のそばにはまるわメンバーの看護師や学生ボランティアが付き添った。
 亘理町の重症児者の保護者らを中心につくる「ベリーの会」会長の佐藤洋子さん(47)は、まるわが昨年5月に始めた月1回のイベントのほとんどに長男(14)と参加した。「医療的ケアを心配せずに外出できるのはありがたい。企画も毎回楽しみだ」と喜ぶ。
 イベントは重症児者の母親たちの情報交換と交流が目的。主な活動場所は仙南地域で、メンバーの仕事が休みの土曜日を中心に開く。午前と午後の2部制で、午前は未就学児を中心に保育士らが療育活動を行う。午後は年代を問わず重症者や地域住民らと共に音楽やレクリエーションなどで交流する。
 重症児者はベッドや車いすの上で過ごす時間が長いため、明るく開放的な「非日常」を味わえる会場を準備する。介助する家族らが人目を気にせず、排せつ処理のスペースが確保しやすい和室があることも欠かせない条件だ。
少ない入所定員
 県によると、県内の重症児者は推計約800人。医療的ケアが要る重症児者の短期入所施設は公立と民間で計9カ所あり、定員は計二十数人という。「常勤医がおらず、重症児者を受け入れられない事業所もある」(障害福祉課)のが現状だ。
 まるわ代表の相談支援専門員猪苗代華恵さん(40)=仙台市若林区=は、県内で数少ない医療型障害児入所施設「エコー療育園」(青葉区)の職員。重症児者の家族と関わる中で、外出機会や外部との交流の少なさ、介護者の高齢化などの現実を目の当たりにしてきた。
メンバー40人に
 病院勤務時代に同僚だった保育士と2016年に再会した際、「介護する家族を細やかに支援できる活動をしよう」と持ち掛け、まるわを結成。趣旨への賛同が広がり、結成時は相談支援専門員や保育士ら6人だったメンバーは現在、医師や理学療法士、介護士などの専門家と大学生ら計約40人まで増えた。
 昨年11月中旬、太白区のファミリーレストランで、メンバーらは次年度の活動計画を練った。デザートバイキング、フラワーアレンジメントなど、アイデアは尽きない。猪苗代さんは「細く長く続けることが、支援の輪を広げる」と話す。

[重症心身障害児者]重度の肢体不自由と知的障害が重複する障害児(18歳未満)・者。医学的診断名ではなく、行政的措置のための定義。東京都立府中療育センター元院長の大島一良氏が考案した「大島分類」が判定基準として多く用いられ、知能指数(IQ)は35以下、運動機能は寝たきりか座位を確保できる程度の障害者が該当する。


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2018年02月21日水曜日


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