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<再生の針路>高齢者の孤立解消に力/気仙沼市・菅原茂市長

気仙沼市内の災害公営住宅は昨年5月に全戸完成した。独居高齢者らの孤立をいかに防ぐかが課題となる=市営鹿折南住宅

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(1)

 −震災7年を迎えるが復興の状況をどう見るか。
<2087戸の整備完了>
 「昨年5月に災害公営住宅全2087戸の整備がようやく完了した。住宅が未完成だったことに関し、被災者に申し訳ない気持ちがあった。肩の荷の半分ぐらいは下りた印象だ」
 「これまで順調に進んだ事業は一つもない。住民の合意形成に時間がかかり、県と市の連携に問題があった事業もある。被災規模が広く事業数が膨大で、当初より2年は遅れている。市の復興計画が終わる2020年度まで残り3年だが、目いっぱい時間はかかる」

 −災害公営住宅には孤立した高齢者もいる。
 「高齢者のみの世帯は41%で高齢者単身世帯は28%と非常に割合が高い。気仙沼全域から被災者が集まる公営住宅では、隣近所との距離が遠くなったとの声がある。自治会が交流会を開いても参加する人としない人がはっきり分かれる。地域コミュニティーや見守り体制の強化が不可欠だ」

 −昨年11月に内湾地区に共同店舗ができた。市内随一の繁華街だった地区のにぎわいをどう取り戻すか。

<にぎわう仕掛け>
 「非常にハードルは高い。かつて魚市場があり、今は海と陸上の結節点。ただ、将来的には飲食店などが中心となってにぎわいをつくらなければならない。区画整理事業が遅れ、かつて内湾にあったが店が内陸で開店し、戻らないケースもある。にぎわいを創出する仕掛けが必要だろう」

 −17年度末には、震災後初めて市内に三陸沿岸道路が延びる。
 「18年度内には一部区間(2キロ)を除き、仙台と気仙沼がつながる。通勤範囲が広がることは企業誘致に有利に働き、物流面では気仙沼漁港に水揚げされる魚を届けられる範囲が広がる。震災遺構の気仙沼向洋高旧校舎があり、韓国版トレッキングコース『オルレ』の唐桑コースも開設され、観光客も増えるだろう」

 −「震災後」を見据えた取り組みも必要では。
 「『人から始まる地方創生』を掲げ、人材育成に力を入れている。気仙沼の将来の産業発展を担う経営者を育て、震災を機に移住した住民とも協力しながら街づくりを担う人材も育ててきた」

 −国の復興・創生期間が20年度に終了する。
 「国には、20年度内に着手にめどが付いた事業に関しては復興事業の枠組みで見てもらいたい。大規模な土地造成を進める中で、地盤の隆起や大雨被害など想定外の事案もある。きめ細かな対応を求めたい」(聞き手は気仙沼総局・大橋大介)


2018年02月23日金曜日


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