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<東京検分録>震災風化の進む国会/国難省み建設的な議論を

 通常国会は召集から1カ月が過ぎた。衆院では予算委員会が連日開かれているが、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の復興再生を巡る論戦は少ない。あの日から間もなく7年。言論の府でも記憶の風化が進んでいる。
 「被災地の将来を支える若い人たちの流出が止まらない。深刻な問題だ」。13日の衆院予算委で、希望の党の階猛氏(岩手1区)は安倍晋三首相に現状認識と打開策を迫った。
 首相はアベノミクスによる景気好転を自賛した上で「学びの場、働く場としても、若者が地方にこそチャンスがあると思えるような地方創生を政府一体で進める」と語った。
 被災地の人口減については「住まいやなりわいの復興に引き続き全力で取り組み、東北への人の流れをしっかりつくり上げたい」。これまでも繰り返された無味乾燥な内容だった。
 手元の原稿を棒読みし、聞かれていないことまで述べだす首相。かみ合わないやりとりに階氏は「復興が進むほど特需が消え、働き盛りの世代が出ていく。ここからが本当の復興なのだが、総理は全く関心がないと改めて感じた」と落胆した。
 予算委は与野党攻防の場だ。裁量労働制の適用拡大を含む働き方改革関連法案や森友、加計問題が焦点となっている。その分、総額2兆3593億円に上る2018年度の復興予算案は脇に追いやられる。
 今国会のこれまでの衆院予算委は16回あり、審議時間は約90時間に及ぶが、吉野正芳復興相(衆院福島5区)が答弁に立ったのは10回ほどにとどまる。
 吉野氏も「復興を巡る議員の関心事項が少なくなり、以前と比べ風化が進んでいる」と認める。「風化と風評、二つの風の対策についてもっと声を大にしたい」と気を引き締める。
 首相は節目で「東北の復興なくして日本の再生なし」と繰り返すが、風化と比例して被災地には空疎に響く。血税に支えられた予算を巡り建設的な議論を重ね、効果的な復興につなげることが改めて問われる。
 特に東北の被災地選出議員に、あの国難を省みて奮起を望みたい。(東京支社・瀬川元章)


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2018年02月26日月曜日


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