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被災地の恵み、食べて応援を 神奈川の夫婦がショップで農水産品販売

仕入れた野菜などを店頭に並べる俊哉さん(右)と晴美さん

 東日本大震災で被災した宮城、福島両県の農水産品などを扱う神奈川県藤沢市の支援ショップ「エシカル市場藤沢」が地道な活動を続けている。震災後から現地に通った夫妻が、販路拡大や風評被害に悩む農家らを支援しようと2014年5月に開店。再起への思いが詰まった商品や客との会話を通じ、被災地の歩みを発信している。(秋田総局・鈴木俊平)

 店を営むのは元会社員の小島俊哉さん(60)とガイドヘルパーの晴美さん(57)。住宅街にある約20平方メートルの店内の棚に、会津のゆべしや気仙沼のサンマのつくだ煮などが並ぶ。壁には両県の農家や漁師の笑顔が映えるポスターと手書きのレシピが貼られている。
 震災後、ボランティア活動などで被災地に何度も足を運んだ2人。それまで東北へは旅行で1度訪れただけだった。
 開店のきっかけは、東京電力福島第1原発事故による風評被害に立ち向かう二本松市の男性農家との出会い。首都圏へ車を走らせ、農産品の販売会を開く姿を報道で知り、支援のため定期購入を続けた。
 12年夏に男性の農場を訪れ、キュウリの収穫を手伝った。「福島というだけで敬遠される」「販路を失った仲間の農家がやめた」。男性が淡々と語る農家の窮状に言葉が出なかった。
 「生産者の努力や商品に込めた思いを感じてほしい」。退職に踏み切った2人は貯金を崩し、経営ノウハウのない中で店を開いた。
 店を構えた空き店舗は震災前まで相馬沖で水揚げされた魚が自慢の鮮魚店。原発事故で漁が制限された影響で魚が仕入れられずに閉店を余儀なくされた。俊哉さんは「いろんな縁が重なり、東北の魅力を伝えるバトンを引き継ぐ感覚だった」と振り返る。
 毎週、被災地で顔を合わせた農家らの野菜や果物、加工品を仕入れる。商品紹介とともに、生産者の現状や復興が進むまちの姿を会話に交えて接客する。最近は常連客もでき、近くの居酒屋が店の農産品でメニューを考案するなど、手探りの支援は実り始めている。
 店名のエシカルは社会貢献や環境を意識した消費を意味する。商品の向こう側にいる生産者の姿を知ってほしいと願って名付けた。
 「地域の誇りを守ろうと、人生を懸ける農家や漁師がいる。復興を遂げるまで被災地の味を届けたい」。2人は前を見据える。


2018年02月27日火曜日


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