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<回顧3.11焦点>被災地の瓦礫撤去足踏み 処理能力限界、まだ遺体の捜索続く自治体も

がれきの量が多く、撤去作業が追い付いていない被災地=2011年5月16日午前11時ごろ、宮城県石巻市

 東日本大震災の被災地でがれきの処理が足踏みしている。被災市町村は地元の雇用・経済対策を図って地元業者に処理を委託しているが、量が多くて作業が追い付かず、発生から2カ月以上たっても手つかずのままの所が目立つ。スピードアップに向け、事業の国直轄化や大手業者の参入を求める声が出ている。

<進み具合に差>
 各被災市町村のがれき処理状況は表の通りで進み具合に差が出ている。宮城県廃棄物対策課は「県内でも損壊家屋の撤去まで進んだ自治体もあれば、まだ遺体の捜索が続いている自治体もある。がれき量や被災状況に違いがあり、進度の差はやむを得ない」と話す。
 被災市町村の大半は地元業者に処理を依頼している。業者が被災して稼働率が高くなく、人手と重機の数も不十分で作業遅れを招いている。
 同課は「がれきを1次仮置き場に運び込む1次撤去は地元業者で対応できるが、2次仮置き場に移して処理する2次撤去以降は作業が大規模化し、地元の対応レベルを超える」と指摘する。

<範囲まちまち>
 宮城県は1年以内に1次撤去、3年以内に2次撤去を終える方針だ。がれき処理は市町村の事務だが、対応が困難なら県が代行する。
 宮城県内の被災市町は15で、このうち仙台市を除く14市町は県への代行委託を決定したか、決定を予定している。委託範囲は「全ての撤去作業」「2次撤去以降」と市町によってまちまちだ。
 こうした状況を踏まえ、政府内から「国の直轄事業にしないと進まない」(仙谷由人官房副長官)と、迅速処理に向けた国の積極的な関与を図る声が出てきた。

<「住民が割食う」>
 一方、環境省廃棄物対策課は「自治体は努力していて、直轄化はないと考えている。国は広域処理や自治体間協力を提案し、迅速化を支援したい」と語る。
 工程管理にノウハウのある大手業者の活用を求める声も高まっている。ゼネコン関係者は「人も機材も不足している地元業者では復興が遅れ、住民が割を食う」と言う。
 地元市町村は大手業者の参入に複雑な思いを抱く。宮城県内の自治体担当者は「震災で多くを失った上、大手業者が稼ぐのを眺めるしかない地元業者のことを考えるとやるせない」と胸の内を明かした。=2011年5月17日河北新報
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 東日本大震災の直後から、被災地で暮らす市民の課題を取り上げた河北新報連載「焦点」。震災7年の節目に、発生翌年までの主な記事をまとめました。
=肩書や年齢は掲載当時のものです。=


2018年02月27日火曜日


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