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<あなたと共に>「よそ者」が見た復興(1)北九州市→宮古市 若者が羽ばたく古里へ

交流スペースを拠点にして若者支援に取り組む早川さん=宮古市

◎NPO法人「みやっこベース」事務局長早川輝さん(31)

 「復興の先を担うのは若者たち。彼らが活躍できるよう、今は大人の踏ん張りどころです」
 宮古市で若者の社会参加を支援するNPO法人「みやっこベース」の事務局長早川輝(あきら)さん(31)はそう語る。
 みやっこベースは2013年2月に設立。市中心部の交流スペースを拠点に、市の復興課題などを話し合う「高校生サミット」や高校生が発案した店舗紹介マップの作製を支援してきた。

<がれきを片付け>
 北九州市出身で大学卒業後、豪州に2年間滞在。帰国直後、テレビで津波に襲われる被災地の惨状を目撃した。
 「自分も何かしなければ」。そう思い立って11年6月、がれきだらけの宮古市を訪問。個人ボランティアとしてがれき撤去や子どもたちの学習支援、復興イベントの運営に携わった。
 まちでは、大勢の高校生が泥のかき出しに汗を流していた。懸命に泥を片付けながら、徹底的に壊されてしまった自分たちの古里をどうすればいいのか悩んでいた。
 震災の年、もがき、苦しみ、泣き、励まし合った宮古の高校生たちの姿が、みやっこベース設立の原点になった。2カ月のつもりの被災地滞在が、いつの間にか7年近くになろうとしている。

<人材育成に力点>
 「『復興』の合言葉が通用しなくなり、まちづくり活動などが減ってきた」。最近、そう感じる。
 宮古市では災害公営住宅の建設など「目に見える復興」が終わりに近づき、日々の暮らしの中で震災を意識することも減った。一方で住民一人一人が目指す「復興」は多様化しているように映る。
 「『復興』という合言葉に頼ることなく、それでもやっぱり、自分たちの古里を良くしたい。こう考えて行動する方が健全ではないでしょうか。若者たちにとっても、まちの将来にとっても」
 みやっこベースの活動は、高校生による復興活動の支援から、まちに愛着を持って行動する人材の育成へと変わろうとしている。支援の対象も小中学生から新社会人まで幅が広がった。
 「僕は『よそ者』。いつか北九州に帰る。僕がいなくなった後も、大人が若者たちを育ててまちづくりをバトンタッチするような仕組みが残ってほしい」
 それが早川さんにとっての「復興」だ。
(宮古支局・高木大毅)


 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地では今も、国内外から訪れた多くの支援者が活動する。地域に根付き、息長くサポートするうちに移住を決めた人も少なくない。地道に復興を支えながら、「よそ者」の視点で地域の隠れた魅力や可能性を引き出すこともある。彼らの思いに迫る。


2018年03月01日木曜日


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