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<回顧3.11焦点>孤立深める外国人妻 夫亡くし心に深い傷…言葉不自由でストレス

被災したフィリピン人女性の心の相談に乗る医師(左)=2011年7月3日、岩手県陸前高田市

 東日本大震災の被災地で、日本に嫁いだ外国人妻たちが日本人の夫を亡くして孤立するなど苦境に立たされている。心のケアに当たろうと、フィリピンから精神科医らの心療チームが来日。宮城、岩手両県の避難所などでフィリピン人女性らの相談に乗っている。震災で心の傷を抱えた在日外国人は少なくなく、外務省は他の国からの支援受け入れも検討するという。(山崎敦、片桐大介、佐藤理史)

 フィリピンの心療チームはいずれも女性で、精神科医2人と医師1人の計3人。今回の震災で心のケアに特化した外国の医師らの来日は初めてだ。
 心療チームは6月30日に盛岡市に入り、大船渡市、気仙沼市、陸前高田市などを日本人の臨床心理士らと巡回。3日夕方には陸前高田市横田町の集会所で、同市と大船渡市から集まったフィリピン人女性約60人の相談に応じた。
 心療チームによると、震災後の気持ちの落ち込み、心的外傷、ストレスの相談が多かったという。医師マリア・パス・コラレスさんは「自分だけ生き残ったという罪悪感を抱いている症状もみられた。慣れ親しんだ母国語タガログ語で話すことで、不安を出し切り、ホッとしたとの感想だった」と話す。
 心療チームは11日まで宮古市や釜石市、久慈市などを回り、13日に帰国する。

 被災した宮城、岩手両県には3月31日時点で、約1900人のフィリピン人が外国人登録している。大部分が農村や漁村に嫁いだ女性という。
 フィリピンに限らず、被災地には他国出身の在日外国人も多く、手厚い保護が必要との指摘が出ている。外務省も「日本語が不自由で、ストレスを抱えたままの人も少なくない」と認め、支援策を検討したいとしている。
 厚生労働省によると、日本に嫁ぐ外国人妻は農村や漁村の嫁不足を背景に、1980年代後半から急増。現在、婚姻件数20組中1組は日本人の夫と外国人妻のカップルだ。ただ、市町村別の統計がなく、個別の被災状況の把握は困難を極めている。

 震災後、宮城県国際交流協会(仙台市)には、日本人の夫を亡くした外国人妻から「しゅうとから『母国に帰れ』と言われた」という相談が複数、寄せられている。夫の労災が会社で認めてもらえないという相談や、遺産相続に関する問い合わせも多いという。
 同協会は「抱えていた問題が震災で一気に表面化する『国際結婚の液状化』が進んでいる。行政の支援が不可欠だ」と強調している。=2011年7月5日河北新報
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 東日本大震災の直後から、被災地で暮らす市民の課題を取り上げた河北新報連載「焦点」。震災7年の節目に、発生翌年までの主な記事をまとめました。
=肩書や年齢は掲載当時のものです。=


2018年03月04日日曜日


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