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<新浜に吹く風>仙台・被災地の奮起/跡地活用に住民ら知恵

新浜町内会の役員会で集団移転跡地の活用策を話し合う平山さん(中央)ら

 東日本大震災の津波被災地、仙台市宮城野区岡田の新浜(しんはま)地区で、新しい町のかたちが見え始めている。震災から7年。子どもたちの遊び場が完成し、市民農園、グラウンドゴルフ場などの事業がこの春、動き始める。七北田川に沿って泉ケ岳おろしが吹き、海寄りの風が強い新浜。現地再建を進め、交流人口の増加を目指す「風の町」を歩いた。(報道部・岡田芽依)

◎(下)挑戦

 東日本大震災の津波で被災した集落跡地。がれきを撤去しただけの荒れ地で、交流人口を増やす作戦が始まろうとしている。
 仙台市宮城野区岡田の新浜地区にあった沿岸部の集落は震災後、住宅の建設ができない災害危険区域に指定され、住民は転居した。
 仙台市街地から10キロの近さは武器だ。例えば市民農園。畑を貸し出し、初心者が気軽に立ち寄り、野菜作りを楽しめるようにする。中高年に人気のグラウンドゴルフ場を造るアイデアも出ている。

<「外部の力必要」>
 「町の再生には町内会だけでなく、外部の支援や協力が絶対に必要だ」
 事業主体となる新浜町内会長の平山新悦さん(76)は強く思う。
 新浜を含む東部沿岸5地区の防災集団移転跡地はかさ上げ道路の東側にあり、市は一部区画を無料で貸し出し、住民のアイデアを生かす「地元利用ゾーン」を設けた。名乗りを上げたのは新浜だけだった。
 町内会は2016年から議論を続けてきた。宮城野区まちづくり推進課の担当者は「新浜の住民は主体的によい町にしたいという思いが特に強いように感じる。住民の意見をくみ取り、サポートしたい」と話す。

<子育て世代意識>
 交流人口と並行して増加を図るのが定住人口。特に子育て世代は、活気ある町には欠かせない。
 「小学校まで歩道を整備してほしい」。町内会は17年、市道拡幅と歩道整備を求める要望書を宮城野区に2度提出した。安全な通学路の確保は最大の懸案になりつつある。
 最寄りの岡田小までは大人の脚で約30分。震災後、復興工事のトラックが激増した。通学路にわずかにある路側帯は狭い。新浜地区内の2人の児童は家族が送り迎えをしている。
 「子どもが安全に通学できる町でないと、これから子どもを持つ若い世代は入ってこない」。岡田小に通う孫がいる自営業菊地菊男さん(70)は強調する。
 交流人口の確保、子どもや高齢者が暮らしやすい町づくり。農業主体の集落だった新浜の挑戦は始まったばかりだ。
 平山さんは「震災前と違う新しい町を作りたい。新浜で面白いことを始めていることを知ってもらい、いつか住みたいという人たちが増えれば、うれしい」と意欲をみなぎらせる。
 小さくともキラリと光る町へ。住民たちが新しい風を起こそうとしている。

[メ モ]東日本大震災の津波被害に遭った沿岸部で、仙台市は防災集団移転跡地の利活用を計画する。被災者から買い取った宮城野区南蒲生、新浜、若林区荒浜、井土、藤塚の計約45ヘクタールを市民や企業、NPOに貸し出し、自由な発想で活用してもらう。今月末に事業者を決める。


2018年03月06日火曜日


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