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<再生の針路>ヒツジ飼育 心の復興に/岩沼市 菊地啓夫市長

ヒツジ牧場の正式名称が決まり、看板を囲んで笑顔を見せる市民ら

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。宮城県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(12)

 −「復興のトップランナー」と称される。
<総仕上げの段階>
 「ハード整備などの大規模事業は縮小する。復興は総仕上げの段階にあり、これからは調整作業に移る。排水機場や集会所といった整備した施設を運営し続ける財源の確保や、入居6年目以降に災害公営住宅の家賃補助が縮小される問題などへの対応がそうだ」

 −沿岸部6集落の集団移転が成功し、仮設住宅の解消も県内一早かった。
 「集団移転は被災者の協力が最も大事。玉浦西地区に移るよう役所が押し付けるのではなく、住民からまちづくりの考え方が上がってくるようにした。仮設住宅の解消については個別にカルテを作り、世帯ごとに寄り添ってフォローし続けたことが奏功した」

 −玉浦西地区は住民の高齢化が課題だ。
 「集会所に頻繁に集まって互いに見守るようにしたが、震災前と生活様式が変わってしまい、外出しない住民が増えたことが予想外だった。高齢化による問題はこれからさらに顕著になるが、行政だけでは守りきれない。もともと住民同士が互いをよく知る地域なので、地域の力を借り、異変を感じたら行政に連絡してもらうようにしたい」

 −被災者の生活の安定に雇用の確保は欠かせない。産業再生の状況は。
<企業誘致に尽力>
 「集団移転跡地を買い上げて西原地区に造成した2.5ヘクタールは県内で初めて全区画が埋まった。災害危険区域なので、ここまでうまくいくとは予想していなかった。仙台空港近くというアクセスの良さと、津波防御ラインの整備による安心感の醸成がいい方向につながった。近隣でさらに産業用地を造成しており、企業誘致に力を入れたい」

 −千年希望の丘やヒツジの飼育、ソバの栽培など、沿岸部で独自の取り組みが目立つ。
 「被災者は皆、楽しみを探しており、その楽しみが心の復興につながるところがある。失敗してもいいから集団移転跡地を活用しようと決めた」
 「牧場はうまくいくか心配で、隠れてプライベートでしばしば見に行っていたが、地域ぐるみで冬場のエサを探すなど想像以上の効果が上がっている。ソバは千年希望の丘の上から一面に広がる白い花が見えると景観改善にもなると考えた。試験栽培に成功したので、来年度は栽培面積を拡大して本格的に栽培する」(聞き手は岩沼支局・桜田賢一)


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2018年03月07日水曜日


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