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<再生の針路>公共施設の利活用課題/宮城県山元町 斎藤俊夫町長

昨年9月に完成したつばめの杜ひだまりホール。維持管理費を懸念する声もある=宮城県山元町つばめの杜
斎藤俊夫町長

 未曽有の被害が出た東日本大震災から間もなく7年を迎える。宮城県内の被災自治体では、復興のハード事業がほぼ完了し光が差し始めた所がある一方で、被災規模が大きく予想外の曲折もあって、思うように進んでいない所も出ている。沿岸部市町の首長に、足元の復興の進み具合や新たな課題などについて聞いた。

◎震災7年 被災地の首長に聞く(14)

 −新年度が震災復興計画の最終年次となる。

<復興は9合目に>
 「被災農地の大区画化を図る東部地区農地整備はほぼ終了し、4月には計420ヘクタールで営農が可能になる。坂元地区に予定している農水産物産直施設、役場庁舎ともに来春には利用可能になる。昨年9月に仮設住宅が解消され、復興は9合目に差し掛かりつつある」

 −被災者の集団移転先を3カ所に限定し、町の機能を集約するコンパクトシティーを推進してきた。
 「2016年10月、つばめの杜、坂元駅周辺両地区の街開きを行った。その年の12月にはJR常磐線の町内での運行が再開し、昨年には3カ所目の新市街地『桜塚』の災害公営住宅が全て完成した。後にも先にもないような街づくりだった。町民に説明しきれなかったという反省部分があったが、ようやく新しい町の全体像を実感してもらえるようになったと思う」

 −新市街地が整備された一方で、被災した沿岸部を中心に将来を不安視している人たちがいる。坂元地区でも、公約だった保育所の整備検討が進んでいないという指摘がある。
 「町全体で利便性、快適性を確保できるシステム作りが大切になる。三つの拠点と周辺地域を有機的に結ぶために、主要町道の拡幅や歩道整備を進めている。保育所は、つばめの杜保育所で新年度から始める一時預かり事業を優先したい。坂元地区での建設を断念したわけではない」

 −人口が震災前の約75%となり、町の高齢化率は37.8%に達した。特に新市街地は災害公営住宅を中心に高齢化が進んでいる。

<人口減に歯止め>
 「人口減は下げ止まってきている。14年8月から1万2000人台を維持できている。県内でも最高水準の補助が出る定住促進事業を背景に新婚・子育て世代の新規転入が増加傾向にあり、本年度は補正予算を組んだ。新しい街づくりで、若い人にも魅力を感じてもらえるようになってきた」

 −人口減少が進む中で公共施設をどう維持していくのか。JR山下駅前に建設された防災・交流拠点「つばめの杜ひだまりホール」など新施設の維持管理費を心配する声がある。
 「ひだまりホールは中央公民館と機能が重複しており、5年、10年の間に方向性を定めていかないといけない。町営住宅や再編の検討が進む学校など全ての施設について、人口減少時の街づくりの在り方について町民間で共通認識を持って利活用を考えていきたい」(亘理支局・安達孝太郎)


2018年03月09日金曜日


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