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<文化審答申>重文に東北から5件 千手観音立像新たに国宝に

木造聖徳太子立像(文化庁提供)
丹後平古墳群から見つかった出土品。当時の北東北の風土などを考える上で重要な史料となる(八戸市教委提供)

 国の文化審議会は9日、三十三間堂(蓮華王院本堂、京都市)に並ぶ1001体の千手観音立像など5件の美術工芸品を国宝に、キトラ古墳(奈良県明日香村)の極彩色壁画や木造聖徳太子立像(本山慈恩寺、寒河江市)、青森県丹後平古墳群出土品(八戸市博物館)などを50件を重要文化財に指定するよう林芳正文部科学相に答申した。
 近く答申通り指定され、美術工芸品の重要文化財は1万735件(うち国宝890件)となる。
 このほか興福寺南円堂(奈良市)の四天王立像や、中世の村落自治に関する須賀神社(滋賀県長浜市)所蔵の古文書「菅浦文書」なども国宝にするよう求めた。
 国宝、重要文化財の指定に関する文化審議会の答申のうち東北関係の主な内容は次の通り。(丸かっこ内は所有者または保管者)

 【重要文化財】
 <彫刻>木造観音菩薩坐像(東川院、一関市)▽木造聖徳太子立像(本山慈恩寺、寒河江市)
 <考古資料>青森県丹後平古墳群出土品(八戸市博物館)▽福島県荒屋敷遺跡出土品(福島県三島町交流センター・福島県立博物館)
 <歴史資料>明国箚付・上杉景勝宛、明冠服類・文禄五年上杉景勝受贈(上杉神社、米沢市)

◎木造聖徳太子立像(本山慈恩寺、寒河江)/像の中に血書経典

 本山慈恩寺(寒河江市)の木造聖徳太子立像は、少年の姿をしていて、頭髪は耳元で髪を束ねる「みずら」、丸い襟の衣の上にけさをまとい、靴を履く。彩色は布張りの下地に、墨や朱などを塗っている。寄せ木造りで高さ94.1センチ。
 1981年に像の中から人の血液で書写された血書経典8巻などが見つかった。血書経典の末尾には、僧旨渕(しえん)が鎌倉時代の1314(正和3)年8月に、亡くなった母の供養のために書写したと記されている。山形県警と山形大医学部の鑑定の結果、旨渕の血液型はA型だった。

◎青森県丹後平古墳群出土品(八戸)/国内初の黄銅製品

 約1300年前の青森県丹後平古墳群出土品195点は円墳など45基から見つかったもので、副葬品や墓前祭事に使われた。
 中でも「金装獅噛三累環頭(きんそうしがみさんるいかんとう)太刀(たち)柄(つか)頭(がしら)」は飛鳥−平安時代における黄銅製品として国内初の出土例となる。刀のつかに施す装飾品で、三つの輪の形をした先端部が特徴的だ。朝鮮半島から輸入されたとみられる。
 このほか、東北地方に特徴的に分布するつかが丸い蕨手刀(わらびてとう)や多量の玉などを含む。中央政府の支配が及ばなかったとされる北東北の社会を考える上で、重要な史料となる。


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2018年03月10日土曜日


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