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<震災7年>二重ローン解決へ連携/事業者再生支援機構・松崎孝夫社長に聞く

松崎孝夫(まつざき・たかお)早大卒。79年日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。新生銀行常務法人営業本部長、東日本大震災事業者再生支援機構常務を経て16年4月から現職。62歳。福島県三春町出身。

 東日本大震災で被災した企業の二重ローン対策を担う東日本大震災事業者再生支援機構の支援決定期限が3年延長され、2021年3月末となった。松崎孝夫社長は仙台本店で河北新報社の取材に答え、「震災前の債務負担が大きい事業者が依然として多い。二重ローン問題を解決して地域を発展させたい」と決意を述べた。(聞き手は報道部・田柳暁)

◎関係機関と制度周知図る

 −震災から7年。現在の支援ニーズをどう認識しているか。
 「二重ローンの状況は事業者ごとに千差万別だ。再建しても資材費や人件費の高騰で運転資金が見込みよりかさんでいる。水産加工業は不漁で原材料価格が上がり、収益が苦しい。福島は東京電力福島第1原発事故の賠償期限後の対応が不透明で資金繰りに懸念がある。金融機関とも調整し、ベストの方法を考えたい」

 −支援実績は。
 「6年間で2729件の相談依頼があり、740件の支援を決定した。そのうち6割は従業員が10人以下の小規模事業者だった。昨年は相談が243件、支援決定が23件。減ってはいるが、二重ローンに悩む事業者は今後も出るだろう」

 −金融面に加え、経営面の支援も必要だ。
 「多くの場合、財務収支より売り上げが伸びないことや利益が確保できないことが課題であり、その解決に力を入れている。旅館業は送迎や掃除、食事の用意に忙しく、他に手が回らない。専任の担当を置いて営業展開の企画やホームページ改善の助言をしている。水産加工業は東京に試験店舗を設けて利用客の反響を調べ、包装や商品構成の改善につなげている」
 「機構の人材も食品製造や外食産業、商社の勤務経験者を増やした。商品展示や販売戦略にプロの目を加えている」

 −関係機関との連携が欠かせない。
 「自治体や商工会議所、商工会と一緒に制度の周知、広報を図る。事業者は『借金で困っている』と周囲に知られたくない。情報管理は徹底する。安心して相談してほしい」
 「地域金融機関とも連携していく。債権放棄で一時的に血を流すが、事業者が再生できず、地域が地盤沈下することは死活問題。地銀などと二人三脚で事業者を再生させたい」

[東日本大震災事業者再生支援機構]2012年2月設立。被災企業の債権を金融機関から買い取り、債務免除や利子減免で経営再建を図る。支援決定期限は5年間だったが、16年12月に1年延長を決め、その後、復興庁の設置期間(21年3月)に合わせ再延長された。


2018年03月13日火曜日


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