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<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第3部 まちづくり(2)市議のなり手不足(下)/金銭不安 若手の壁に

栗原市議の給与等支給額の明細。支給額から税金などを納め、活動費など必要経費を差し引くと生活は厳しい(写真の一部を加工しています)

 平成の合併により誕生した宮城県の登米、栗原両市はいずれも行財政改革は進んだ一方で、歯止めがかからない過疎化を前に、市の将来像が見えにくくなっている。地方自治の担い手である市議のなり手は急減し、移住定住策や街のにぎわい創出に試行錯誤が続く。第3部では「まちづくり」を取材するとともに、両市に根を張った移住者2人に地域発展の可能性や展望を聞いた。(登米支局・本多秀行、若柳支局・横山寛、栗原支局・土屋聡史)

 栗原市で昨年から、地方議員になる道筋を考える懇話会が2カ月に1回のペースで開かれている。主催は市内在住や市出身の若手有志。過疎化に伴う市の衰退を目の当たりにし、政治による地域活性化を目指してスタートさせた。
 参加者は毎回10人ほど。ゲストに前市長の佐藤勇氏、現職の千葉健司市長らを招いて政治家を志した理由や、選挙に臨む姿勢を聞くなどしている。
 主催する中心的メンバーで、昨年の同市議選で初当選した高橋将(すすむ)さん(33)は雑談の中で、市議の実情を語ったときのことを鮮明に覚えている。
 「皆が市議の日々の仕事について熱心に耳を傾けていたが、お金の話をしたら場の熱が引いた。私も近所の人が野菜などを分けてくれるから暮らしていける。議員報酬だけで生活するのは実際には厳しい」。高橋さんは打ち明ける。

<報酬は課長級>
 栗原市の一般議員の給与は月額40万1000円で、期末手当を含めて年間約611万円、登米市は月額39万8000円で年間約626万円。政務活動費はいずれも年間30万円。所得税や市民税、国民健康保険料などを納めれば、扶養家族数にもよるが手取りは30万円台半ば前後になる。
 栗原市職員でいえば年収はおおむね課長級と同程度。安い額ではないが、付き合いや会合出席が多くやりくりは大変だ。
 「先進地視察などの政治活動や会合出席、香典などに月10万円はかかる」と高橋さん。次の選挙費も蓄えなければならない。
 一般的に栗原市議選では500万円ほどかける候補者が多いとされる。積み立てると毎月10万円以上が必要だ。それでも当選する保証はない。退職金はないし、議員年金もなくなった。
 高橋さんと共に懇話会を主導する仙台市の会社員三浦大樹さん(37)=栗原市出身=も帰郷して栗原のために働きたいという気持ちはあるが「市議は金銭的に不安定。立候補は難しい」と打ち明ける。
 県や政令市の議員ならば報酬は高額で、政務活動費も潤沢だ。宮城県、仙台市とも年間報酬は約1410万円、政務活動費は月35万円に上る。
 東北学院大の井上義比古教授(政治学)は「県議や仙台市議の金額であれば経済的欲求を満たせるが、栗原や登米では難しい」と指摘する。

<連帯感醸成を>
 合併で広い市域に集落が点在する格好になった栗原、登米では共同体意識が薄くなったため、「奇特な人」(井上教授)である市議のなり手が減ったという見方もある。
 ならば、どうすれば市議候補を育てられるのか。
 「住民が自主的に旧町村の課題などについて話し合う場をつくってはどうだろうか。小さな単位の連帯感の醸成が市全体の連帯感につながり、市議のなり手も育つ。中学生、高校生を対象にした『子ども議会』も開催すべきだ」
 井上教授はこう提案する。


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2018年03月15日木曜日


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