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<脱埋没への模索 どうする登米・栗原>第3部 まちづくり(4)にぎわい創出/人材育て差別化図る

栗原市中核機能地域の基軸の一つとなる東北新幹線くりこま高原駅を背景に、同地域の将来像を考える市民の意見交換会(左下)、空き店舗の再生プロジェクトが進む栗駒地区の商店街(右上)のコラージュ

 「古川は栗原より街が洗練されていて、にぎわいがある。そこに引かれた」
 5年前、大崎市古川に家を買った栗原市出身の男性会社員(38)は言う。
 結婚を機に仙台市から栗原市の企業にUターン就職したのは10年ほど前。新婚生活は古川のアパートで始め、妻は近くの病院で出産した。現在の地に居を構えるのは自然な流れだった。

<「へそ」ない街>
 栗原市の地元の商店街もかつては人の往来が盛んだった。だが人口減とともになじみの本屋や飲食店は相次ぎ閉店。経済活動の軸足は他市に移っていた。
 男性は悩ましげに言う。「実家には高齢の親もいる。栗原に街としての魅力があれば、自宅を手放して戻ることも考えるのだが…」
 栗原市は2005年、人口規模が似通った10町村が合併して誕生した。「多極分散型」「『へそ』のない街」と呼ばれ、街の活力停滞や若者流出の一因と指摘されてきた。
 直近の県消費購買動向調査(16年)によると、市内では旧築館、旧志波姫の2商圏が形成されているが、県全体でみると、いずれも最も吸引人口が少ない「地区型」に位置付けられる。南北を古川、一関市の2大消費地に挟まれる地理的要素もあり、住民の足は外に向きがちだ。
 こうした現状を打開しようと、市は17年3月策定の市国土利用計画で、商業施設が多い築館宮野地区から東北新幹線くりこま高原駅周辺までを「中核機能地域」に設定。商業や公共施設を集積し、吸引力の向上を目指す方針を打ち出した。
 だが、東京23区より広大な栗原市で都市機能をコンパクト化することには疑問の声もある。中核機能地域の将来像を考える市民の意見交換会の委員を務める男性は「限られた資源が集約すれば、周縁部にほころびが出るのは自明だ」と危惧する。
 「頑張っている既存商店街のやる気をそがないか」と話すのは、空き店舗の再生プロジェクトが進む栗駒地区で17年9月、アウトドア店を開いた蘇武和祥さん(35)。「小粒でも個性が光る地域を伸ばしてほしい」と要望する。

<張り合い限界>
 9町が合併して生まれた隣町の登米市も、にぎわい創出に向け難しいかじ取りを迫られている。繁華街が栄える迫町佐沼地区を抱えてもなお、近年は幹線道路の延伸などに伴い、石巻市など他市への流出が目立つ傾向にある。
 東日本大震災の被災自治体で復興計画に携わった東北学院大の柳井雅也教授(経済地理学)は「古川や石巻など吸引力がある商圏と同じベクトルで張り合っても、街の魅力向上には限界がある」と指摘する。
 「人口が減る中、コストに合わない無理な計画は控えるべきだ」と強調した上で「大事なのはマーケットを意識した他都市との差別化と、それを担う人材の育成。アイデアがあるよそ者や低コストで集落を運営できるNPOを育成するなど、人材への投資が鍵になる」と助言する。


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2018年03月17日土曜日


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