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<点検・再始動 復興の理想と現実>現状見据え計画修正を

むろさき・よしてる 兵庫県尼崎市出身。京大卒。神戸大都市安全研究センター教授などを経て2017年4月から現職。73歳。

 東日本大震災から7年が過ぎ、被災地では各自治体が作成した復興計画と実際の復興状況のずれが目立ち始めた。兵庫県立大大学院減災復興政策研究科の室崎益輝科長(防災計画)は今の復興状況、人口減少の流れを見据えた上で計画を軌道修正すべきだと訴える。(聞き手は報道部・門田一徳、菊池春子)

◎兵庫県立大大学院減災復興政策研究科科長 室崎益輝氏に聞く

<取捨選択が必要>
 −各地で復興計画と住民ニーズが合わなくなっている。
 「阪神大震災でも高度経済の延長で復興計画を立て、10年後に災害公営住宅の空室や商店街の空洞化などが問題化した。計画からずれた事業のうち、やめるべきもの、伸ばすべきものを取捨選択しないと復興とかけ離れた方向に事業が進んでしまう」

 −入居者数が供給戸数を下回る災害公営住宅も目立つ。
 「災害公営住宅は建設費のほとんどが国費負担なので、自治体は資産が増えるように思うかもしれない。空室分に(入居者の家賃負担を抑える)国の補助金は支給されず、入居者が減れば維持費の負担がかさみ自主財源でやっていけなくなる。民間への払い下げや撤去のための計画を早めに検討する必要がある」

 −住宅再建が遅れ、再開した商店などが経営に苦慮している。
 「病院、学校、商店街は人口が戻る前から必要で、これらの施設がなければ人は戻らない。ある程度、住民が戻るまで先行再建した施設への支援が必要だ。これら施設が撤退すればさらに人が戻らなくなる」

<ソフト面重視へ>
 −医療・福祉分野は施設再建後のスタッフの不足が深刻だ。
 「人材確保などソフト面とセットで持続的な運営を図るべきだったが、復興事業はハコモノ中心に予算が付いた。どうすれば機能するかを検討し、施設規模を小さくしてもソフトに予算を充てる枠組みが必要だ」

 −再建まで時間がかかり、医療・福祉サービスと住民ニーズにずれも生じた。
 「再建後は、住民側も施設に合わせなければならない面が出てくる。住民をどう支えるかという議論をした上で、交通アクセスの改善を含めた全体の計画を作らなければならない。復興とは、地域や社会のひずみを克服すること。多様なニーズに対応するには、医療と福祉などの横つなぎが重要だ。首長のリーダーシップが欠かせない」

 −自治体は今後の復興をどう進めるべきか。
 「人口減少局面の復興は、少ない人口でも豊かに暮らすための質の獲得を目指さねばならない。震災復興は期間や予算額で区切られるものではない。国の復興・創生期間が終わる2020年度末までに自治体が復興計画の見直しを検討し、その上で必要な予算を国に求めるべきだ」


2018年03月17日土曜日


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