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空き家活用制度、東北6県で停滞…宮城の1件のみ、支援メニュー拡充求める声も

独り暮らしのお年寄りら要配慮者向けに1部屋が登録されたマンション=仙台市太白区南大野田

 単身高齢者や低所得者世帯向けの賃貸住宅を確保するため、昨年10月に始まった空き家や空き部屋を活用する制度が東北6県で停滞している。人口減少で増加が見込まれる空き物件と高齢社会の要配慮者らを結び付ける取り組みだが、これまで登録されたのは宮城県の1件のみ。自治体などからは支援メニューの拡充を求める声が上がっている。(報道部・樋渡慎弥)
 仙台市太白区南大野田にある6階建てマンションの1室が今年1月、東北第1号として登録された。所有する今野不動産(青葉区)の今野幸輝専務は、国に仕組みづくりを呼び掛けた業界団体の役員を務める。制度の活用につなげようと率先して名乗りを上げた。
 今野専務は「今後増える空き家や空き部屋を有効活用できる利点は大きい」と意義を強調。「行政任せではなく、民間も積極的に関わるべきだ」と話す。
 新制度は改正住宅セーフティーネット法に基づいている。貸主が要配慮者の入居を拒まないことなどが条件。入居に合わせたバリアフリー化などの改修に自治体が最大200万円を支援するほか、低所得者の家賃を月額4万円まで補助したり、連帯保証会社への費用を最高6万円助成したりする仕組みも設けた。
 全国の登録数(17日現在)は大阪府が207件で最も多く、山梨県88件、岡山県54件など。東北で動きが低調な要因について、岩手県の担当者は「公営住宅の入居倍率が高い都市部とは温度差がある」と話し、需要に懐疑的な見方を示す。
 東北6県と全国の空き家率の推移はグラフの通り。東日本大震災などの影響で各県の状況は異なるが、いずれも将来的な増加が見込まれる。国は空き家対策特別措置法に基づき、撤去や活用に向けた対策計画の策定を促している。
 宮城は震災後に空き家率が下がったが、県は被災者が入居する民間賃貸のみなし仮設住宅の先行きを懸念する。ピークの12年3月は約2万6000戸だったが、17年12月には約1900戸に減少。担当者は「退居後は潜在的な空き物件になり得る」と指摘する。仙台市内のある不動産関係者は「連携がうまくいけば貸主、入居希望者、自治体それぞれに利益がある」と制度の浸透に期待する。
 登録促進に向け、秋田県の担当者は「家賃補助は最長10年に限られ、改修物件は要配慮者しか入居できなくなる。もう一段の財政支援が必要」と話す。「人口減少で衰退する中心市街地のまちづくりを支援する視点も取り込むべきだ」(岩手県)との要望もある。

[改正住宅セーフティーネット法]2017年4月に成立。孤独死や家賃滞納などが不安視され、入居が断られやすい要配慮者の支援と、空き物件の有効活用を図るのが目的。都道府県や政令市、中核市がホームページ上で登録物件を公開し、入居希望者とのマッチングなども担う。


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2018年03月18日日曜日


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