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<震災7年・10代語り始める>「聞いてくれる場」重要/東北大震災子ども支援室 加藤道代室長に聞く

加藤道代(かとう・みちよ)東北大大学院教育学研究科修了。2011年8月から同研究科教授。臨床心理士。専門は臨床心理学。同年9月の支援室開設と同時に室長に就任した。62歳。仙台市出身。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から7年がたち、当時幼かった子どもたちは成長し、自らの体験を見詰め始めた。10代が震災を語る意味は何か。周囲の大人はどう向き合うべきか。被災した子どもや親の相談活動を続ける東北大震災子ども支援室長で、同大大学院教育学研究科の加藤道代教授に聞いた。(聞き手は報道部・菊池春子)

<気持ちの整理>
 −10代の子どもたちが思いを語る姿をどう見るか。
 「中高生くらいになると言葉で表現する力がより発達し、社会参加への思いが強まる。震災を通じて社会を知り、役立ちたいという思いを抱き続け、成長した今、その場や力を得た。支援室のシンポジウムで高校生が防災活動を発表した際も『小学生で何もできなかった悔しさから行動した』という報告が目立った」
 「表に出すことは気持ちの整理や充足感につながる。重要なのは、聞いてくれる場があって初めて語れるということ。子どもの視点を大切にしつつ、大人が表現の場を設け、耳を傾けることが大切だ」

 −語れない子、語らない子も少なくない。
 「誰もがそれぞれ語らない部分を持っているだろう。阪神大震災の7年後を見ても、まだまだ気持ちを切り替えられる状態ではなかった。表に出す時期や内容はそれぞれ異なる。防災活動も震災の犠牲を繰り返さない目的が根底にあり、きつく感じる子もいるかもしれない。一律に語れば良いということではなく、違いを幅広く受け止めていく時期だ」

<多様性理解を>
 −周囲の大人に求められることは何か。
 「震災は大きな出来事だが、子どもが抱える問題を『3月11日』のみに結び付けずに、7年間どう過ごしてきたかを考え、その子にとって今一番重要な問題に対処することが大切だ。部活や進路の悩みもある。一緒に立ち向かう大人がいれば、震災で傷ついたとしても語れるようになるし、着実に育つ。被災の影響を懸念し過ぎて大人が構えると緊張関係が連鎖する」
 「被災地のために役立ちたいという子は少なくないが、子どもたちの人生は必ずしもそれだけではないはずだ。震災で縛ることなく、多様な可能性を大切にしてほしい。大人の一生懸命な姿は間違いなく子どもたちに映り、地元に残ってほしいという思いがあれば痛いくらいに感じている。緩やかに考えてあげたい」

 −今後の課題は何か。
 「被災地を離れて内陸などに引っ越した子どもたちの孤立が懸念される。『震災の話をすると、みんなが引く。しゃべってはいけない』と封じ込める子もいる。進学や就職で都会に出た場合も、どこまで話していいか葛藤がある。サポートが必要だ。親への支援も大切。震災と子育てによるストレスをためずに、気軽に相談してほしい」


2018年03月18日日曜日


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