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<汚染廃>仙南であす試験焼却開始

朽ちてきたほだ木の山を積み直す勅使瓦さん

 東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物を巡り、仙南2市7町でつくる仙南地域広域行政事務組合は20日、大崎、石巻、黒川の3圏域に先駆けて試験焼却を始める。約8カ月かけて30トンを燃やし、安全性を確かめる。廃棄物を保管する農家が処理の進展を期待する一方、健康被害を懸念する住民の声も依然として残る。

<徐々に濃度高く>
 試験焼却の全体の流れは図の通りで全6工程。1工程目で燃やすのは1キログラム当たり100ベクレル以下の白石市のほだ木で、徐々に放射性セシウム濃度の高い廃棄物が対象となり、6工程目は8000ベクレル以下の同市のほだ木で締めくくる。
 試験焼却する汚染廃棄物は1日1トンずつで、一般ごみ各199トンを混ぜ、1工程につき5日間燃やす。各工程は、焼却灰の放射性セシウム濃度などを分析する期間を含めそれぞれ3〜4週間に及ぶ。
 安全対策としては、焼却施設の仙南クリーンセンター(角田市)と、焼却灰を埋め立てる仙南最終処分場(白石市)、各周辺地域の計10カ所にモニタリングポストを設置し、空間放射線量を測定。センターの煙突から出る排ガスや敷地内の土壌、処分場近くの地下水それぞれの放射性セシウム濃度も測る。組合が設けた基準値を超えた場合は試験焼却を中止する。
 2工程目を終えた後の6月と全工程終了後の12月ごろには、仙南クリーンセンターで住民説明会を開く。

<ほだ木の山 崩れ>
 「ようやく処分に向けた動きが始まる。ほっとする気持ちだ」。ほだ木約8万本を保管する蔵王町平沢の農業勅使瓦幸一さん(64)は試験焼却の開始を心待ちにする。
 保管する場所は近くに借りた山林で車道からも見える。ほだ木の山は風雨にさらされたり、イノシシに荒らされたりして徐々に崩れてきた。「蔵王は観光と農業の町。このままの状況が続くのはイメージが良くない」と心配する。
 原発事故前まで約40年続けたシイタケ栽培は再開のめどが立たない。「一番理不尽な被害に遭ったのはわれわれ農家」と勅使瓦さん。「栽培が再開できなければ復興したとは思えない。すぐにでも堂々と片付けられるようにしてほしい」と訴える。

<「隠さず報告を」>
 仙南クリーンセンターのある角田市の西根13区の佐藤弘区長(72)は「西根にも汚染廃棄物を保管する農家は少なくない。農家のことも考え、妥協点を探すことが大事だ」と冷静に受け止める。
 本焼却に対しては「試験焼却の結果を見て判断するしかない」と強調。「安全管理を十分にして焼却し、何があっても隠さず報告してほしい」と組合に注文を付ける。
 試験焼却について「住民の健康被害への懸念はまだ残っている」と話すのは、住民団体「放射能汚染廃棄物の焼却に反対する仙南の会」の長谷川進会長(75)だ。「住民との合意形成が不十分なまま強行することは許されない」と語り、20日に会として組合に抗議文を提出する考えを示した。


2018年03月19日月曜日


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