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<仙台民泊事情・新法施行を前に>(中)規制 実質禁止 利益見込めず

仙台市内の民泊施設に滞在したオーストラリア人カップル。インバウンドの受け入れ態勢を整備するため民泊新法は制定された=白石市の白石城

 「当マンションは民泊サービスを固く禁止しております」
 仙台市中心部のマンション1階に今月上旬、貼り紙が掲示された。マンション管理業協会(東京)によると、騒音やごみなどのトラブルを警戒し、全国の分譲マンションの約8割が民泊を禁じている。東北支部の担当者は「東北では民泊を認めた分譲マンションは聞いたことがない」と話す。

<条例が追い打ち>
 貼り紙のあった仙台のマンションでも民泊が行われている。部屋を管理している男性が、マンションの管理規約で禁止される前に事業を始めていた。規約改正で禁止になったが、既に数カ月先まで予約が入っていたため今も続けている。
 事業は順調だが、男性は撤退も検討している。この6月、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるからだ。同法は住居を活用した宿泊サービスの営業日数を180日以下と定める。
 男性は「売り上げが半減し、利益は出ない。180日という数字に根拠は全くなく、民泊をつぶすことしか考えていない」と憤る。
 さらに追い打ちを掛けるのが、自治体の条例による上乗せ規制の動きだ。
 仙台市は、住居専用地域で原則として土曜日以外の民泊を制限する条例案を市議会2月定例会に提出。3月14日に可決された。
 民泊利用客の多くを占めるのは、曜日に関係なく長期滞在する訪日外国人旅行者(インバウンド)。週1日限りの営業ではとても利益は見込めない。市条例は事実上、住宅地の民泊禁止と受け止められている。
 ある民泊事業者は「異国の日常に触れる民泊の魅力を満喫できるのが住宅地での滞在。それを制限するひどい条例だ」と指摘。市の担当者は「民泊が全て悪いとは思っていない。市民の住環境確保が最優先」と説明する。

<治安悪化を懸念>
 既存のホテル・旅館事業者も民泊新法を厳しく批判する。
 作並温泉(青葉区)の鷹泉閣岩松旅館の岩松広行社長(69)は9日、市内であった同業者の会合で「違法民泊を防ぐため市民による告発制度を設けなければならない」と訴えた。
 「違法民泊の監視態勢が整わない状況で、民泊を認めることを前提に話が進んでいるのはおかしい」。岩松社長は「このままでは治安の悪化を招くリスクを拭いきれない。市民の理解も進んでいない」と話す。
 民泊新法と同様に、一定の条件を満たして自治体に登録すれば民泊を認める制度を2014年に設けたのが世界的観光地の米サンフランシスコだ。現在でも登録は進まず、制度の実効性は乏しい。8割前後が違法民泊との調査結果もある。
 しかし、仙台の中心部で民泊を営む男性は負の部分ばかりがクローズアップされる風潮に反発する。
 「人口減少が進む東北では、活性化に向け観光の重要性がさらに高まる。まだまだ広く普及しているとは言えない民泊の可能性の芽をつぶすことが、果たして賢明な策だろうか」


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2018年03月21日水曜日


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