山形のニュース

<食味に懸ける 山形米戦略’18>第3部(上)揺らぎ/特A依存の販促見直し

「特A」奪還はならなかった「はえぬき」だが、業務用米市場での評価は依然として高い

 2018年産からの生産調整(減反)廃止に向け、山形県が進めてきた食味最優先のブランド戦略は見直しを迫られている。日本穀物検定協会(穀検)の17年産米食味ランキングで、主力品種「はえぬき」は「特A」奪還を果たせなかった。県や指導機関はランキングに依存したイメージづくりから、より市場動向を意識した戦略にかじを切ろうと動き始めている。(山形総局・宮崎伸一)

 「原因が分からない」
 17年産米の食味ランキングの結果が発表された2月28日、県県産米ブランド推進課の卯月恒安・水田農業推進主幹は、首をかしげて繰り返した。

<A転落 原因探る>
 出品した「はえぬき」のサンプル米は、タンパク質やアミロースなどの数値上は、かつて「特A」を維持していた頃と比べて全く遜色はなかった。
 「われわれが分析した理化学特性や食味官能試験検査と比較したい」と卯月主任。近く穀検に職員を派遣して「A」判定に至った原因を調べる方針だ。
 16年産がAに転落して以来、県は確かな技術を持つ生産者を選抜し、検定用サンプルの栽培を委託するなど、特A奪還プロジェクトに全力を傾けてきただけに、関係者の衝撃と落胆は大きい。
 県とともにプロジェクトを主導してきた全農県本部は今回の結果を受け、食味ランキングに頼らない販売戦略へとかじを切る可能性にも言及した。
 ランキングの発表から一夜明けた3月1日、山形市内であった報道各社との懇談会。全農の担当者は「来年産の食味ランキングについては、はえぬきを出品するかどうかを含め検討したい」と述べた。
 背景にあるのは、県産はえぬきの業務用米としての引き合いの強さ。16〜17年の中食・外食市場では、宮城県産「ひとめぼれ」に次ぐ、全国2位のシェア7%を誇っている。
 山形県も「収量が多く食味が安定している点で、はえぬきは業者の信頼が厚い。特Aを逃しても、取引への影響は小さいはず」(県産米ブランド推進課)との見方で一致する。

<順位 評価の一つ>
 18年産からの減反廃止を見据え、県や農協グループは味の良さを前面に打ち出す戦略を描き、最も分かりやすい指標としてランキングを重視してきた。だが、2年連続でAとなった以上、はえぬきについては、もはや有効な宣伝材料にはなり得ない。
 ランキング自体の変質も目立ってきた。17年産で「魚沼産コシヒカリ」が初めて特Aから陥落したほか、同年産でデビューした新潟県産米の次世代エース「新之助」が出品されず、関係業界に波紋を広げた。
 コメ専門誌「月刊食糧ジャーナル」の鶴田裕編集部長は「今回の結果で、食味ランキングは絶対的なものではなく評価の一つにすぎないことが鮮明になった」と指摘。販促手段として特Aの効力が低下すると予想する。
 17年産食味ランキングには、参考品種を含めて163銘柄が出品され、3割近い47銘柄が特Aと評価された。東北大大学院の冬木勝仁教授(農業市場学)は「特Aを獲得しても、特A銘柄の数が多すぎて優位性を発揮できていないのが実情」と分析し、「ランキングにこだわるより、市場ニーズを踏まえた施策が大切だ」と強調する。


関連ページ: 山形 社会

2018年03月28日水曜日


先頭に戻る