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<秋田地方気象台>豪雨から人的被害防いだ名物台長、あす定年 首長と「顔が見える関係」築き減災に力注ぐ

秋田地方気象台で雨雲の状況などを確かめる和田さん。災害に備えるため、常に情報の把握に努めている

 秋田県内の市町村長らと「顔が見える関係」を築き、防災と減災に力を注いできた秋田地方気象台長の和田幸一郎さん(60)が31日、定年退職する。昨年夏に相次いだ県内の大雨では、首長との「ホットライン」が早めの避難判断につながり、24時間雨量が300ミリを超えたにもかかわらず人的被害を防いだ。4月以降は再任用職員として残り、後進の指導や市町村との連絡に当たる。
 和田さんは山形県高畠町生まれ。高畠高を卒業した1976年、陸上自衛隊を経て旧国鉄に入った。駅員や車掌を経験後、87年の分割民営化を機に気象庁に転職。「入るからには予報官を目指したい」と技術職を選んだ。
 防災の原点は、89年から勤務した秋田市の秋田空港出張所(現秋田航空気象観測所)にある。操縦士への気象解説を担当し、欠航につながる霧の発生源を調査した。
 気温や風向、雄物川の水温を3年間調べ、発生条件を突き止めて資料にまとめ、霧の発生を予報できるようになった。「防災の基礎となる調査。早めの注意を呼び掛けることができた」と振り返る。
 その後は東北各地の気象台や測候所に勤務。大きな災害があると休みを使って現地に出向き、状況を聞き取ったり、写真や映像で記録したりした。「どれくらいの雨でどんな被害が出るのか。状況を知らなければ災害時に切迫感を持って伝えられない」と言い切る。
 昨年4月、初任地の秋田で台長に就任。約2カ月弱で全25市町村長を訪問した。防災の会合や地域の祭りにもできる限り顔を出す。「顔の見える関係があるからこそ、いざというときに連絡できる」
 昨年の大雨での対応は、ホットラインが有効に機能した例として全国の注目を集めた。「秋田の気象台として励みになるし、名誉なことだ。知恵を出し合ってさらに進化させてほしい」。気象災害を防ぎ、被害を最小限に食い止めるため、地道な取り組みを続けていく。(秋田総局・藤沢和久)


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2018年03月30日金曜日


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