福島のニュース

福島・楢葉、仮設住宅の無償提供終了へ 進む退去、不安拭えず 帰町か否か選択相半ば

仮設住宅の物置を片付ける鎌倉さん。月内に福島県楢葉町の災害公営住宅に移る=福島県いわき市

 福島県楢葉町の町民向け仮設・借り上げ住宅の無償提供が今月末で終わる。東京電力福島第1原発事故で全町避難した7町村で初の終了。帰町か避難先にとどまるか、選択は相半ばで、町は当面の町内居住者は人口の5割程度と見込む。
 「夜は明かりもまばら。急に寂しくなった」。いわき市中央台地区の高久第9仮設住宅。自治会長の鎌倉みつ子さん(61)が語る。
 隣接する第10仮設を含め、楢葉町の約390世帯が身を寄せた。最後に引っ越しが本格化したが、2月末時点では190世帯が残っていた。「みんなで協力し、つながりができた」と鎌倉さん。「もっといたい」と話す住民も多かった。
 町は帰町促進へ生活環境の整備を急ぐ。6月には災害公営住宅や医療施設を集約した復興拠点「笑(えみ)ふるタウンならは」に商業・交流施設をオープンさせる。
 それでも高齢者らの不安は尽きない。町南部の町営住宅に1人で戻る青木ツナさん(87)は「店も金融機関も近所になくなった。年だからと、周囲から電動自転車に乗ることも止められている」と嘆く。
 県や町によると、2月末時点で仮設・借り上げに入る940世帯のうち、行き先未定は74世帯。町は意向調査などから、帰町世帯が増えるとみており、住民登録者7108人に占める町内居住者は、2月末時点の3割強から4月以降は約5割になると期待する。
 避難先にとどまる人も将来の帰町に含みを残す。
 いわき市の借り上げアパートで避難生活を続けてきたパート女性(51)は、家賃を負担して契約を継続した。市内の中学と高校に通う子ども2人の「環境を維持したい」ため。町内の自宅に戻るかどうかは「今後考えたい」と言う。
 町の復興計画策定に携わった高木竜輔いわき明星大准教授(地域社会学)は「帰還率を復興指標にしないまちづくり」を提言する。
 高木氏は帰町者への支援継続に加え、当面帰還しない人を巻き込む必要性を指摘。「戻らない後ろめたさを感じずに、楢葉に関わり続けられるようにすることがポイント」と強調する。
 町は新年度、新婚世帯に対する最大30万円の新生活費助成など定住促進策を強化。7月28日に一部再開するサッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)を核にした交流人口拡大にも取り組む。
 松本幸英町長は「町内でも避難先でも自立して生活してもらうことが大切。すぐに戻らない人も含め、町民全体で町をつくることに主眼を置きたい」と語る。


2018年03月30日金曜日


先頭に戻る