宮城のニュース

<閖上津波訴訟>仙台地裁、遺族の請求を棄却 名取市の対応違法性認めず

 東日本大震災の津波で乳児を含む家族4人が宮城県名取市閖上地区で死亡・行方不明になったのは、市の防災行政無線の故障などが原因だとして、仙台市の夫婦ら遺族4人が名取市に約6700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は30日、「市の災害対応と死亡との因果関係は認められない」として遺族の請求を棄却した。遺族は控訴する方針。
 高取真理子裁判長は、震災当日の地震の揺れで故障して鳴らなかった防災行政無線に関し「故障要因はできる限り排除されるべきで、問題がなかったとは言えない」としつつ、「故障は複数の要因が重なった結果で、予見は困難だった」と判断した。
 市が防災計画で定めた広報車による避難呼び掛けを見送った点は「時間的にも人員体制的にも余裕はなく、市職員が津波に巻き込まれる危険性もあった。出動を見送った判断に合理的な理由があり、違法とは言えない」と結論付けた。
 遺族は「市からの情報伝達があれば早期の避難行動が取れた」と主張したが、「仮に無線などで情報伝達があったとしても、その後、どう避難行動を取ったかは不明で、津波被災を避けられたと証明されていない」と退けた。
 仙台市内で記者会見した遺族の弁護団は「訴えが何一つ聞き入れられず、今後の防災にもつながらない不当な判決だ」と批判した。
 判決によると、防災行政無線は地震発生時の揺れで親機内部に異物が混入して故障したが、市は気付かずに避難指示放送を繰り返した。閖上地区の妻の実家にいた乳児の息子と両親、祖母が被災し、父と祖母が閖上小付近で遺体で見つかった。残る2人は現在も行方が分かっていない。

◎名取市長「同じ悲しみ繰り返さぬ」

 名取市の山田司郎市長は判決後、市役所で記者会見し「裁判なので勝訴、敗訴はあるが、多くの方が犠牲となったことを重く受け止め、二度と同じ悲しみを繰り返さないように取り組んでいくことが大切だ」と述べた。
 防災行政無線が稼働しなかった点を踏まえ、防災ラジオの配布を進めるなど緊急時の情報発信手段の充実に努めるという。


2018年03月31日土曜日


先頭に戻る