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<おらほの学校>(下)キャリア教育 古里再興へ人材育てる

ワークショップで、下級生に夢を見つける大切さを伝える三浦さん(左から2人目)

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町は、人口減少対策の要として、昨年から町内唯一の高校である宮城県立の志津川高(生徒237人)の支援に乗り出した。県内で初めてとなる公営塾「志翔学舎」の設立を後押しし、生徒数の確保を目指す。1年目の取り組みの成果と課題を追った。(南三陸支局・古賀佑美)

◎志津川高・公営塾の1年

<将来像を描いて>
 「将来やりたいことが分からない? だったら好きなことを書き出してみたらどうかな」
 南三陸町の志津川高の生徒でつくるグループ「FINDER(ファインダー)」が2月中旬に同町で開いたワークショップ。代表の3年三浦千裕さん(18)が1、2年生計約10人に優しく語り掛けた。
 グループは、同校に2017年6月に設けられた公営塾「志翔学舎」で学んだ3年生4人が結成した。後輩に夢を見つける大切さを伝えるとともに、高校生活を充実させてほしいと願う。
 3年になるまでやりたいことが見つからず、進路に迷っていた三浦さん。志翔学舎で講師に「どんな職業に就きたいかではなく、どんな大人になりたいのか」と問われたことが、自身の生き方を見つめ直すきっかけになったという。
 東日本大震災で、自宅のある同町戸倉地区は大きな被害を受けた。地元から人が離れていく中、町を盛り上げる多くの移住者と出会い、「住民が主体的に参加する地域づくりに携わりたい」と考えるようになった。
 4月から山形市の東北芸術工科大で地域デザインを学ぶ。授業がない日は南三陸に戻り、まちづくり活動を続ける予定だ。
 志翔学舎の講師佐藤陽さん(27)は「当初は『どうせ志高だし、何をやっても仕方ない』と無気力さが目立っていた」と振り返る。「まず将来像を描けるように導けば、自主的に勉強するようになる」と話す。

<存続へ抜本改革>
 志翔学舎は学習支援にとどまらず、新年度には町とともにキャリア教育にも幅を広げる。中高生を対象に福祉や観光といった地域の課題解決に取り組み、次世代を担う人材を町ぐるみで育てる計画だ。
 県立高校将来構想審議会は次期構想(2019〜28年度)の策定に向け、適正な学校規模を1学年4〜8学級とする。一方で、志津川を含め3学級以下が17校と全体の25%に上る。郡部の県立高校は軒並み定員割れが続き、抜本的な改革が求められている。
 高橋仁県教育長は、地域一体となった志翔学舎の取り組みを評価し、こう期待する。
 「県立高を設置するのは県だが、地元の中学生が進学したいと望む魅力ある高校に育てていくのは地域の皆さんだ」


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2018年03月31日土曜日


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