宮城のニュース

遺品のオルガン後世に 仙台出身、最後の海軍大将・井上成美 横須賀の博物館で保存、展示

横須賀市自然・人文博物館に展示されている井上ゆかりのオルガン
井上 成美

 「最後の海軍大将」と呼ばれ、終戦直後に神奈川県横須賀市長井の自宅で英語塾を開いた井上成美ゆかりのオルガンが昨年12月、同市自然・人文博物館に寄贈され、特別展示されている。井上の記憶を後世につなごうとする塾の教え子らは「宝物が地元を離れるのは寂しいが、恒久的な保存場所が見つかった」と一安心している。
 ◇
 オルガンはヤマハ製の足踏み式。年代物だが、現役だ。同社の資料が空襲で焼けたため製造時期など詳細は不明。昭和30年代、井上の後妻から「使ってほしい」と申し出があり、近所の長井保育園が引き取った。
 4年ほど前、保育園の倉庫に長らく眠っていたオルガンの処分が持ち上がり、教え子や住民の有志が保存活動を展開。ひとまず長井の荒井町内会館に落ち着いた。町内会から保存の打診を受けた博物館の瀬川渉学芸員(32)は「横須賀の歴史を物語る貴重なオルガン。すんなりと受け入れが決まった」と説明する。
 元塾生で、井上の葬儀が営まれた勧明寺の住職藤尾良孝さん(80)は「長井からは離れるが、市内の博物館が預かってくれて良かった」とほっとした様子。博物館は市中心部にあることから「井上先生を知ってもらう機会が増えるのでは」と期待を込める。
 オルガンは「なつかしの道具展」に合わせ、4月8日まで展示中。入場無料。連絡先は市自然・人文博物館046(824)3688。

[いのうえ・しげよし]1889年仙台市生まれ。海軍兵学校卒。米内光政海相、山本五十六次官に仕えた軍務局長時代、対米英開戦につながるとして日独伊三国同盟の締結に徹底反対。「海軍省の左派トリオ」と称される。兵学校長、次官を経て1945年5月大将に昇進し、終戦工作に携わった。戦後は半農半漁の集落だった長井に蟄居(ちっきょ)し、75年に86歳で死去。


関連ページ: 宮城 社会

2018年04月01日日曜日


先頭に戻る