宮城のニュース

被災経験語り続ける 本人が証言集朗読 涙誘う 宮城・山元で記念行事

発足20周年を記念した行事で、昔語りをする「やまもと民話の会」のメンバー

 宮城県山元町のやまもと民話の会(庄司アイ代表)は3月24、25の両日、発足20周年を記念した行事「大震災をのりこえ、民話を語りつぐ」を同町つばめの杜ひだまりホールで開いた。会員が聞き書きするなどして出版した被災証言集に登場した町民が自ら原稿を朗読し、語り継ぐことの意味を確かめ合った。会員の昔語りもあり、震災に負けずに活動を続けるメンバーの声に聴衆が耳を傾けた。
 朗読は24日にあり、2011年8月〜12年4月に発行された3冊の証言集「小さな町を呑(の)みこんだ巨大津波」に寄せられた6人の証言が読み上げられ、うち5人が自ら原稿を読んだ。
 武田あき子さん(83)は娘と孫たちと避難途中に津波にのまれそうになりながら救出された様子を読んだ。原稿の冒頭、「先に行ってろぉ、追っかけっから」とあき子さんの夫が話す様子が書かれている。
 朗読の最後、武田さんが「『先に行ってろぉ』と言ったはずの夫の声を二度と聞くことはできませんでした」と声を詰まらせると、会場のあちこちで涙を拭う姿が見られた。
 武田さんは朗読後、「思い出したくないけれど、経験していない人に実際はこうだったとお話ししようと思った」と語った。
 丸森町の「丸森ざっと昔話の会」や福島県新地町の「新地語ってみっ会」の会員も加わり、それぞれの地域に伝わる伝承を語った。
 記念行事は、みやぎ民話の会の小野和子顧問や東京学芸大の石井正己教授らが発起人となった。小野さんは民話の会の聞き書き活動について「紙も鉛筆も十分ではない中で記録をした行動に言葉を失うほどだった。今後の私たちの道しるべになる」と話し、石井さんは「民話の力を教えてくれたのは、会の皆さんだった」と振り返った。


2018年04月01日日曜日


先頭に戻る