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<さらば呑ん兵衛横丁>「寂しい」「潮時」 なじみ客と歴史に幕

営業最終日も自慢の料理と酒で客を出迎えた菊池さん

 「鉄のまち」に愛された酒場が、半世紀以上の歴史に幕を下ろした。釜石市の飲食店街「呑(の)ん兵衛(べえ)横丁」の営業最終日となった31日、店主らはなじみの客をいつもと同じように出迎え、カウンターだけの店内には笑い声が響いた。
 開店55年目で最古参の「お恵」を切り盛りする菊池悠子さん(79)は「やっぱり寂しい。お客さんをはじめ、多くの人に支えられた」としんみり。仮設店舗での再開に際し、東京・渋谷の「渋谷のんべい横丁」が同名の縁で募金を贈ってくれたことは「感謝しても、しきれない」。
 市中心部に整備された飲食店街への出店を断り、他の店と集団移転を模索してきたが、時間切れとなった。「自分だけなら何とでもなるけど、ずっと一緒だった仲間を置いてはいけない。廃業ではなく休業だ。『まだ頑張っぺし』と言い合っている」と前を向いた。
 一方、廃業を決めた「和(なごみ)」の三浦和子さん(76)は「年も年だし、ちょうど潮時。しょうがないよね」と自らに言い聞かせるように話した。
 横丁に長年通っているという市職員板沢英樹さん(56)は「安くてうまい横丁がなくなるのは本当に残念だ。仕事帰りに先輩に連れられて店を覚え、逆に後輩を連れて行く文化があった」と惜しんだ。
 横丁6店が入居する仮設店舗の「釜石はまゆり飲食店街」も全店が営業を終える。ラーメン店「こんとき」店主の紺野時男さん(68)は「今後のことはまだ何も決まっていないが、何とか別の場所で店を続けたい」と語った。


2018年04月01日日曜日


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