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「いつか故郷に看板を」福島・浪江の老舗時計店 茨城で再起へ時刻む

新店舗の外観にはかつての店舗ロゴも。眼鏡専門店として再出発する=茨城県つくば市
新天地で再起する原田さん。福島、茨城両県で顧客対応していく考えだ=二本松市の仮店舗

 福島県浪江町の老舗「原田時計店」が4月、茨城県つくば市で眼鏡専門店として再起を図る。東京電力福島第1原発事故で顧客が散り散りになり、町の一部避難指示が解除された今も商圏回復は見通せない。故郷に再び看板を掲げる日を願い、新天地への定着に全力を注ぐ。(報道部・斎藤秀之)

 新店舗名は「グラングラス」。つくば市の新興住宅地に新築した。原田時計店の支店と位置付け、外観にはなじみの店舗ロゴもデザイン。商品棚や電気工事は町外で事業を再開した商売仲間に依頼した。
 浪江では時計、貴金属も扱ったが、時流を見据えて眼鏡専門に切り替えた。国内、欧州で製造されたフレームを中心にそろえ、大型店との差別化を図る。
 原田時計店は1925年創業。原発事故が起きた時は3代目店主の原田雄一さん(68)が切り盛りしていた。町の中心街にあった店舗は既に取り壊した。
 原田さんは「一定の商圏人口がなければ小売業は成立しない。何とか新天地に根を張りたい」と話す。
 町は南相馬市南部など周辺自治体を含む広域経済圏の中心だった。3万8000程度の商圏人口のほとんどが原発事故で避難対象となった。
 町内の避難指示は昨年3月末、帰還困難区域を除いて解除されたが、帰町は進まない。居住者は2月末現在で516人にとどまる。
 浪江町商工会の加盟業者のうち、避難先などで営業再開にこぎ着けたのは約4割。町内に限ると1割程度だ。商工会の会長も務める原田さんは「住民避難で営業基盤そのものが奪われたのが痛い」と嘆く。
 新店舗オープンの1日からは経営を4代目となる娘夫婦に委ねる。自身は昨年11月に二本松市に設けた仮店舗との間を行き来し、顧客のアフターサービスなどに当たる。
 原田さんは「地域に骨を埋める覚悟がなければ商売は成功しない。新店舗を軌道に乗せることで、浪江での営業再開の可能性が生まれる」と前を向く。


2018年04月01日日曜日


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