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「女川は流されたのではない」震災直後、町民支えた詩作った少年が町職員に

女川町職員として新たな一歩を踏み出した佐藤さん=宮城県女川町の仮設庁舎
町地域医療センターの一角に掲げられた横断幕=2日午後1時50分ごろ、宮城県女川町

 「女川は流されたのではない 新しい女川に生まれ変わるんだ」。東日本大震災直後、甚大な被害を受けた宮城県女川町の少年が作った一編の詩が、復興へと励む町民の心を支えてきた。作者の佐藤柚希(ゆずき)さん(18)は今春、町職員に採用された。「新しい女川」をつくり出す一員として、一歩を踏み出す。
 佐藤さんは震災当時、女川二小5年生だった。石浜地区の海沿いにあった自宅は津波で全壊。「経験したことのない災害に直面し、不安や後ろ向きな思いもあった」と明かす。
 避難所に身を寄せ、支援活動に奔走するボランティアらの姿を見て気持ちが変わった。「いつまでもうじうじしていられない」
 6年生に進級し、授業で「好きなことを書いて」と紙を配られた。一つずつ言葉を紡ぐうち、詩が生まれた。「前向きでいよう、と無意識に思っていたのかもしれない」と振り返る。
 詩は町の復興担当の職員の目に留まった。町民を鼓舞する力強い詩の一節を横断幕にし、高台にある地域医療センターに掲げた。
 詩の反響は大きかった。佐藤さんは町の復興に携わりたいという思いを次第に強め、石巻商高を卒業後、町職員の道を選んだ。
 2日に辞令を受け取った。配属先は産業振興課観光係で、主に町の観光PRなどを担う。「震災後の7年で駅や商店街など人を呼び込む環境は整ってきた。昔ながらの女川の良さを取り入れながら、来町者も町民も一緒に楽しめる町にしたい」と意気込む。
 直属の上司の柳沼利明課長は、佐藤さんの詩を横断幕にした当事者だ。「町は復興計画期間の最終年度を迎えた。新たなまちづくりに向けて職務に励んでほしい」と期待を寄せる。


2018年04月03日火曜日


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