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在宅患者が望む生活を 秋田・由利本荘医師会、独自アプリで包括ケア 情報共有し連携容易に

病状や投薬状況などが登録されているアプリの画面
タブレット端末を通じて患者の心情などを確認する伊藤副会長

 在宅患者が専用のアプリを使って自ら管理する病気などに関する情報を、地域の医療や介護、福祉関係者らと共有するシステム「ナラティブブック(NB)秋田」の普及に由利本荘医師会(秋田県由利本荘市)が力を入れている。病状や治療中の目標を共有することで地域包括ケアの充実を図るとともに、患者が自分らしく生活できるように後押しする。
 NB秋田の仕組みは図の通り。ナラティブは英語で「物語、ストーリー」を意味する。由利本荘、にかほ両市をモデル地区に2015年11月に運用を始めた。
 専用のアプリに登録した患者は、タブレット端末やパソコンでいつでも利用できる。参加できるのは患者が許可した病院や介護施設などとそのスタッフで、現在は患者約120人と約60施設が登録している。
 患者のアカウントには病名や投薬状況、緊急連絡先などを掲載。医師や薬剤師、ケアマネジャーらが対応時に気付いたことや患部の状態などを書き込める「タイムライン」には、家族も思い出の写真や励ましのメッセージを投稿できる。
 「おせっかい」を意味する「nudge(ナッジ)」では、医師やケアマネジャーらが患者の留意点などを共有。患者が診察時に語れなかった目標や夢などを明かす「wish(ウィッシュ)」は、患者が望む生活の実現に向けた連携強化に生かす。
 「食べられなくなったら胃ろうを希望する」「最期は自宅で迎えたい」といった患者の意思を尊重した治療方針が事前にまとめられ、緊急時や転院後もスムーズな対応が可能になる。
 従来、病気に関する記録は病院や介護施設などがそれぞれ管理し、共有されることはほとんどなかった。
 各施設間やスタッフの連携を強化し、患者が充実した人生を過ごせる環境を整えようと、由利本荘医師会の伊藤伸一副会長が地域の福祉関係者らとアプリの推進に尽力。地域医療の過疎化が進んで在宅医療のニーズが高まる中、同医師会が全国に先駆けて導入した。
 伊藤副会長によると、患者や家族からは「面と向かって言えない本音を打ち明けられた」「医療情報が分かりやすくまとめられて安心できる」などの声が寄せられた。医療関係者からも「福祉や医療の分野の垣根を越えた連携が容易になった」と好評だ。
 伊藤副会長は「異なる職種で情報を共有でき、地域包括ケアの普及に向けて大きな一歩になる。ビジネスモデルとしての確立を目指し、いずれは全国に広めたい」と話す。


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2018年04月03日火曜日


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