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浪江で被災し長井に移転…鈴木酒造店が新銘柄の酒 コメから水、酵母まで原材料は全て浪江産

福島県浪江町のコメと水、酵母で醸造した「ランドマーク」を手にする鈴木社長
福島県浪江町の原材料で醸造した日本酒=2日、山形県長井市

 東日本大震災の津波で酒蔵が全壊した福島県浪江町の鈴木酒造店が、東京電力福島第1原発事故後、山形県長井市に拠点を移した蔵で浪江の水とコメを原料に新銘柄の日本酒「ランドマーク 浪江の酒」を醸造し、2日に出荷を始めた。震災から8年目の春、新天地で初めて「古里の酒」を復活させた。

 原料のコメは浪江で栽培されたコシヒカリを使い、水もかつてと同じ水系から運び込んだ。代々受け継いできた酵母を含め、醸造に必要な原材料は全て浪江産。放射性物質濃度は国の基準値を大幅に下回る。
 杜氏(とうじ)で社長の鈴木大介さん(45)は、2014年に始まった実証栽培で収穫されたコメを使って試験醸造を重ね、出来上がった酒を復興支援のイベントなどで提供。昨年3月に町内の一部地域で避難指示が解除されたのを機に、新銘柄の出荷を目指してきた。
 仕込みに用いたコシヒカリは玄米で20俵(1俵約60キロ)、水は約1000リットル。「苦境の中でコメ作りをしている農家の期待を裏切らないように」と自分に言い聞かせ、慣れ親しんだ原料での酒造りに向き合った。仕上がりには「コメのうま味が感じられる」と自負している。
 商品名の「ランドマーク」は、英語で「目印」や「象徴」の意味。鈴木さんは「この酒がこれからの浪江を象徴する銘柄に育ち、浪江の食べ物が震災前と同じく当たり前に食べてもらえる日が早く来ることを願って付けた」と説明する。
 新酒は震災から7年となる今年3月11日、一足早く浪江町主催の行事で地元関係者らに振る舞われた。
 4合瓶で1本1500円(税別)。計1500本が瓶詰めされ、山形、福島、宮城の3県と首都圏などの酒販店で販売される。


2018年04月03日火曜日


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