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<岩手沿岸部被災世帯>2020年になってもプレハブ仮設?宅地造成難航で現実味「こんなに長引くとは…」

陸前高田市内の仮設住宅が集約される滝の里団地

 東日本大震災の発生から10年となる2020年になってもプレハブ仮設住宅にとどまらざるを得ない事態が、岩手県沿岸部の一部被災世帯で現実味を帯びてきた。住宅再建の遅れで本年度、特例的にプレハブ住宅への入居を続ける「特定延長」世帯は、2月末現在で岩手県が6市町の1425世帯。宮城県の554世帯に比べて実に2.6倍という多さだ。(大船渡支局・坂井直人)

<引き渡し遅れる>
 3月末に閉鎖された陸前高田市の高田高仮設住宅団地。11年6月に入居した松野昭子さん(82)も、プレハブ住宅を集約する市の方針に従って別の仮設住宅団地へ転居する。
 自宅を再建する予定だが、造成工事の遅れで宅地引き渡しは9月まで半年もずれ込んだ。「仮設住宅での暮らしがこんなに長引くとは夢にも思わなかった。ストレスをためないようにしないと」と松野さんは話す。
 被災県別のプレハブ住宅への入居世帯数を比べると、17年6月時点で岩手と宮城が逆転した(グラフ参照)。
 岩手は沿岸部に平地が少ないこともあって宅地造成が難航。現段階で、20年にプレハブ住宅への入居を強いられる可能性があるのは、山田町で最大70世帯、釜石市で二十数世帯、陸前高田市で数世帯、大船渡市で1世帯とみられる。

<自治組織が解散>
 一方で被災自治体はプレハブ住宅の集約を進めており、新たな課題が浮上している。
 陸前高田市は20年度、仮設住宅団地を滝の里団地1カ所とする計画だ。滝の里団地自治会長の小野田高志さん(80)は「転入者の意見も聞き、住民同士で何でも話せる雰囲気を作りたい」と語る。
 ただ小野田さん自身、年内に自宅を再建して団地から退去することになっており、自治会の今後が気掛かりだという。
 被災地の仮設住宅団地では、自治会組織の解散が相次いでいる。法政大の宮城孝教授(地域福祉)は「転入者を孤立させないよう行政や支援組織には、仮設住宅団地の現状を調べたりご用聞きをしたりして『忘れていない』という姿勢が求められる」と助言する。


2018年04月06日金曜日


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